《LGBTQカップル》音信不通になった母 父の余命宣告 住民票続柄問題までの2人【第2回】
NBC長崎放送7/19(金)20:00

《LGBTQカップル》音信不通になった母 父の余命宣告 住民票続柄問題までの2人【第2回】
三重県出身・松浦慶太さん39歳。長崎県出身・藤山裕太郎さん39歳。
惹かれあって結ばれたこの一組のカップルが、《住民票の続柄》を巡る問題で注目を集めている。

同性同士のカップルへの批判の声もある中、どうして2人は《住民票の続柄》にこだわり訴え続けるのか?
LGBTQ自認者に対する差別と、自身の中の葛藤に苦しみながら生きてきた2人の人生から、今回の《住民票続柄》問題を見つめるシリーズ2回目。
カミングアウト

松浦さん自身が「ゲイ」であることを自覚したのは中学1年生の時だったという。学校の帰り道、男子のグループで帰っていたときのこと。
「慶太は好きな女子は誰なん?」と聞かれた。
抑え込んだ思い…吃音症状が出るように
松浦さんの頭にぼんやりと浮かんだのは男子のことだった。
「これは人に言っちゃいけない、とんでもないことだ」

男性が好きなこと、それは社会的に話してはいけないこと、治さないといけないことなのだと一瞬で悟り、心を閉じて抑え込んだ。
その後、吃音の症状が出るようになった。
転機は大学生のとき。
偶然出会ったLGBTQ当事者の友達をきっかけに、人と積極的に関わるようになった。大学ではLGBTQサークルの代表も務めて活動した。
これまで伝えられていなかった両親にもカミングアウトした。
「東京は進んどるなあ」ー父親はそう言って意外にもすんなり受け入れてくれたようだった。でも、母親は違った。
なんやこれ。こんな気持ち悪いの送ってきて

30歳のとき、松浦さんは当時付き合っていたパートナーを連れて三重県に帰省した。母はパートナーに対してとても冷たい態度だった。
後日、そのパートナーが松浦さんの母親にクリスマスプレゼントを送ってくれた。母親は松浦さんに電話をかけてきてこう言った。
「なんやこれ。こんな気持ち悪いの送ってきて」
「女の人と結婚して孫を産んで欲しかった。あんたが私の夢を壊した」
以来、母親とは音信不通になった。
「ケツ掘られるぞ」…いつバレるか
社会の風当たりも強かった。
松浦さんは大学卒業後、住宅設備メーカーの海外事業部で勤務した。
職場では、「ゲイ」に対して差別的な言葉が飛び交っていたという。
「〇〇(ゲイと噂される社員の名前)と会議室で一緒になるなよ、ケツ掘られるぞ」
「前の会社でゲイってカミングアウトしたやつがいて、マジでひいた」
「自分はいつバレるのか…」 ヒヤヒヤする毎日だった。
定年まで働くのは厳しいと感じ、退職した。
その後引っ越しや転職を経て2018年、松浦さんと藤山さんは出会い交際をスタート。2023年6月、尼崎市の神社で結婚式を挙げた。

受けて入れてくれたはずの松浦さんの父親は、世間体を気にしてか「参列しない」と頑なだった。結婚式には松浦さんの兄だけが参列した。
藤山さんの身内は1人も参列しなかった。
藤山さんはまだ、周囲にカミングアウトできずにいた。
絶対言えない…でも父の余命宣告
特に家族には絶対に言えないと思っていた。
藤山さんの家族はとても仲が良かった。
その仲をどうしても壊したくなかった。
家族に言えないまま結婚式を終え生活を続けていた中、藤山さんにある事実が知らされる。父親の末期ガン、余命宣告だった。
「このまま紹介しなかったら後悔する」
母親は泣いていた
去年8月、父親に松浦さんを紹介した。父親の反応は意外なものだった。
初めて会う松浦さんの手を、2回強く握って言った。
「息子になってくれてありがとう」
母親は泣いていた。
「つらかったやろ。もっと早く言ったらよかったのに」
弟は「結婚式、行きたかった」と言ってくれた。

藤山さんの家族は、息子の心と生き方、そしてパートナーの松浦さんのことも受け入れてくれた。
「素敵なおうちの一員になれた」
これまで味わったことのなかった安らぎと喜びを感じたという松浦さん。
そして2人は尼崎市を離れ、藤山さんの地元・長崎県への移住を決意した。【3回目へ】




