長崎の被爆者や市長、高校生らも参加した『核兵器禁止条約第2回締約国会議』が12月1日、新たな政治宣言を採択して閉幕しました。
長崎に続く、“第三の戦争被爆地”がうまれる危機が高まる中、今回も日本政府の姿はありませんでした。
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政治宣言を採択し、閉幕した2回目の締約国会議――
《人類が世界的な核の破局に近づいていることが示される中、我らは何もせず傍観していることはできない》
“核大国ロシア“ そして事実上の“核保有国 イスラエル”の戦闘で核兵器使用の危機が高まる中、『完全な廃絶』を目指す決意を、改めて示す宣言となりました。
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第2回 締約国会議 デラフエンテ議長:
「政治宣言は、非常に明確なメッセージを送ることになると思う。“核兵器と国際安全保障は両立しない”」
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デラフエンテ議長が語ったのは、この条約に批准していない国々へのメッセージです。それは、核兵器を保有していることで、相手を威嚇し攻撃を思いとどまらせる“核抑止”への非難です。
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長崎大学 核兵器廃絶研究センター 中村桂子准教授:
「どの国も自分達のやっていることは”責任ある”行動であって相手が悪いと。私たちは、それに対抗しての “核依存”だというロジック(論理)ですね」
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長崎大学 核兵器廃絶研究センター の 中村桂子准教授は「核兵器の保有や依存を正当化している限り、核軍縮は進まない」と指摘します。
長崎大学 核兵器廃絶研究センター 中村桂子准教授:
「周りに “何をしでかすか分からない”脅威がある中では『やっぱり核抑止しか私達を守れないんだ』という考えがあって、ずっと議論が平行線になっている。(核抑止の)流れに くさびを打って、“核に頼らない安全保障”を目指していくことが私たちみんなにとっての正解(で必要なこと)であると」
オブザーバー参加の3か国は「核禁条約には参加しない」と表明
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アメリカの核兵器に依存するNATO加盟国のうち、今回オブザーバーとして参加した3か国(ドイツ・ベルギー・ノルウェー)は会議の席上、“自国の安全を守るため核抑止力は必要”だと主張し“核兵器禁止条約には参加しない” と述べました。
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ドイツ代表:
「核兵器が存在する限り、NATOは“核同盟”であり続ける」
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ノルウェー代表:
「ノルウェーは、この会議に“オブザーバー”として参加している。これはTPNW(核兵器禁止条約)に署名・批准するためのステップではない」
日本も隣国の核保有を理由にアメリカの核に依存している国の一つです。
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核兵器禁止条約には、核保有国の不参加を理由にオブザーバー参加さえしていません。
核抑止論にどう対峙していくか「核兵器廃絶のために行動することは私たちの責任」
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KNOW NUKES TOKYO 被爆三世 中村涼香さん:
「どうして、自分の生まれ故郷である長崎の町を一瞬にして破壊した“核兵器”が自分達を守るための“ダークヒーロー”の様な形で、核兵器の存在が認められているんだろう?と凄く疑問を持っていた所を、今回のステイトメント(発言)の中に盛り込んでいたんですが…」
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KNOW NUKES TOKYO 被爆三世 中村涼香さん スピーチ:
「なぜ私達は、このような邪悪な兵器が少しでも防護策になると考えて平気なのだろうか?」
被爆者から借りた着物を着て発言した長崎市出身の被爆三世 中村涼香さん。核抑止論に疑問を投げかけました。
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KNOW NUKES TOKYO 被爆三世 中村涼香さん:
「世界の核軍縮の課題とも すごくリンクするかなと思う。(核抑止論が)人道的に反しているということをベースに いかにそれについて議論するかが これから非常に鍵になるのかなと思いながら…難しい所ですけども」
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高校生平和大使 長崎東高校2年 安野美乃里さん スピーチ:
(黒こげの少年の写真を掲げながら)「想像してみてください。キノコ雲の下で何が起きたのか――核兵器廃絶のために行動することは私たちの責任なのです。」
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鈴木史朗 長崎市長 スピーチ:「78年前、キノコ雲の下で何が起きたのか」
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鈴木史朗長崎市長:
「市民の声で、政治を動かしていく事がより重要になっていくと思います。普遍的な国際法になるべきだと思っています。そのために被爆国である日本、主体的な役割を果たすべきですし、当然、署名・批准までやって頂きたいと強く思っています」
核兵器は安全保障にとって必要悪なのか――?
今回の会議では、核兵器が使われた場合の被害やリスクを科学的観点などからも検証、いかにリスクが高いか証拠を積み重ねることで「核抑止」の考えに対峙していくことも決まりました。
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長崎の被爆者 木戸季市さん:
「ウクライナとガザから伝えられる光景は、被爆者にとって“あの日”の再来です」
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長崎大学 核兵器廃絶研究センター 中村桂子准教授:
「この声明を受けて日本の私達も含めて問われている。そういう姿勢は見落としてはいけない所だと思う。オブザーバー参加もそうですが、議論に参加する価値あるよねとまず引き込んでいく、そういう所に手繰り寄せていく事は十分に可能ではないかと思っています」
長崎市では、12月8日から 2日間核軍縮に関する世界のキーパーソンが集まる日本政府主催の「国際賢人会議」が開かれます。
今回、核禁条約の会議を傍聴すらしなかった日本政府が核兵器廃絶に向けてどう役割を果たすのか世界から厳しい目が注がれています。