【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆5年連続で牝馬が連対

 東京のマイル戦は、全体としてよどみない流れになることが多く、それでいて上がり3ハロンのタイムは速い。GI戦はその傾向が一層強くなっている。ただ昨年だけはスローペースで、やや例外とみておくべきだろう。安田記念は、これらの点を加味して考えてみたい。

 スピード色が強く、それでいて頑張りの利くクロフネ産駒のソダシが、今回は川田騎手の手綱で登場する。ヴィクトリアマイルでもテン乗りのレーン騎手でアタマ差の2着だったように、白毛の女王は人を選ばない。川田騎手と言えば、2年前に勝ったダノンキングリーがテン乗りだった。中距離のGII戦の勝利はあったが、前年の安田記念は7着、秋の天皇賞は12着で、7か月ぶりのこのときは8番人気。中団で折り合い、直線入口で外に出してじっくり加速させ長くいい脚を使って、連覇のかかったグランアレグリアをアタマ差で下していた。

 そして、このとき3着だったのが、3歳馬シュネルマイスターだった。4戦目の前走、NHKマイルCを勝って3勝目を挙げていたが、一戦毎に逞しさを出していて、手塚調教師は安田記念に挑戦するにあたり、強い馬がいるが今後のためにいいステップになる筈。斤量差を生かして頑張ってほしいと述べていた。そして本番では、残り300米から激しい叩き合いとなり、アタマ、半馬身差及ばずだったが、手塚師は、価値ある3着と評していた。このシュネルマイスターが4歳の昨年、クビ差の2着で、今回は3年連続で安田記念に出走してくる。昨年はペースが遅く少し力んでしまったと言っていたが、とにかく東京は合う馬なので、差し脚が生かせるいい馬場なら3度目の正直があるだろう。

 3歳馬の挑戦はこの10年で4頭だけで、それだけこの時期での安田記念の壁は高いが、今年はNHKマイルC1着のシャンパンカラーが出走してくる。東京のマイルは3戦3勝。勝負根性があり、4キロの斤量差を生かして上位に喰い込めるか注目したい。

 昨年安田記念を勝ったソングラインは、牝馬ながら前年のNHKマイルCでシュネルマイスターにハナ差の2着と走っており、同じ東京で一年前の悔しさを晴らしたのだった。

 こうして見てくると、この5年で顕著なのが牝馬の活躍だ。グランアレグリアとソングラインが勝負師池添騎手で勝ち、2着にもアエロリットが2度、アーモンドアイ、グランアレグリアと5年連続で連対馬を出している。この流れを受け、連覇を狙うソングライン、ひと叩きの効果が期待されるソダシと牝馬を上位に取り上げ、3度目の挑戦で東京は合うシュネルマイスターを逆転候補にしてみた。

 大阪杯を逃げ切ったジャックドールは武豊騎手の手綱でどう動くか注目されるし、昨年4着だったセリフォスはマイルでリベンジを大望できるし、3歳馬シャンパンカラーの可能性にも魅力があり、多士済々だ。

「この舞台 勝つも負けるも 紙一重」

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