数量政策学者の高橋洋一が8月10日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。8月9日に行われた中韓外相会談について解説した。

2022年5月18日、韓国・光州で開かれた光州事件の追悼式典で演説する尹錫悦大統領(共同) 写真提供:共同通信社

中韓外相会談、中国が韓国に圧力

中国の王毅国務委員兼外相と韓国の朴振(パク・チン)外相は8月9日、中国の山東省青島で会談した。両外相は8月24日に中韓国交正常化30年を迎えるのに合わせ、協力関係を発展させる方針を確認しつつも、王毅国務委員兼外相は、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権がアメリカ主導の対中包囲網に取り込まれないよう釘を刺した。5月の尹政権発足後、高官の中国訪問は初めて。

ペロシ米下院議長が訪韓した際に中国に配慮して会わなかった尹大統領

飯田)半導体供給網に関しても、中国は韓国の参加を望まないとして、圧力を掛けたそうです。

高橋)ペロシ米下院議長が韓国に来たときに、尹大統領は会わなかったですよね。

飯田)夏休み中だからといって電話で済ませ、出迎えもしなかった。

高橋)会うと中国から何か言われるのが怖かったのかも知れませんが、そのご褒美が今回の中韓外相会談であり、日中外相会談の方はドタキャンでしょう。

飯田)そうでしたね。「先進7ヵ国(G7)の共同声明が気に食わない」と言って。

高橋)「中韓はやってもらった」と韓国は思っているのかも知れませんが、やっても要求されるだけだから、やらない方がよかったと思いますが。

半導体製造の世界的なリード獲得に本格的に動き出したアメリカ

高橋)半導体についていろいろな動きが最近ありました。例えば、アメリカで7兆円規模の補助金・奨励金を盛り込んだ「半導体法」が成立しています。

飯田)法律が通ったという。

高橋)本格的に半導体をつくる方向になったし、その少し前には、アメリカの方から半導体製造装置の規制があった。半導体は切る線の幅によって、最先端かそうでないかに分かれるのです。10ナノメートル以下は最先端ということで、10ナノメートル以下の技術を使った半導体製造装置の大半について、中国の半導体メーカーへの販売を規制していたのですが、それを14ナノメートル以下まで広げました。そうすると、ほとんどの半導体製造装置が入ってしまうのです。

飯田)ほとんどが中国のメーカーへの販売禁止となる。

高橋)もう1つ日本も絡むものとして、日米経済政策協議委員会(経済版2プラス2)がありました。

飯田)ありましたね。

台湾のTSMC幹部と会ったペロシ氏 〜「日米台」の半導体枠組みへ

高橋)日本からは萩生田経済産業大臣と林外務大臣が参加した2プラス2。ここで何を話したのかというと、半導体の話なのです。ここでも半導体についての動きが見えます。それにペロシさんは、台湾にある台湾積体電路製造(TSMC)という、いちばんの半導体メーカーの幹部などとも会っているのです。

飯田)台湾の。

高橋)それを見ると、ペロシさんが来た裏側には、安全保障面以外にも経済面で半導体の話があって、それは「日米台」なのです。ペロシ米下院議長のもう1つの動きは、半導体について台湾を日米に取り込むという側面もあったということです。

飯田)きちんと取り込んでいくと。

半導体大手、台湾積体電路製造(TSMC)のロゴの前を歩く男性(台湾・新竹市)=2021年1月29日 AFP=時事 写真提供:時事通信

日米台に韓国を加えれば世界の約8割の半導体を製造することに 〜韓国を切り崩したい中国

高橋)そういうことだと思います。そして日米台に韓国を入れると、半導体は世界の8割くらいを製造できてしまうことになります。だから中国は必死になって韓国を切り崩しているのでしょう。

飯田)日米台韓の4ヵ国を並べてみたら、いちばん弱いところは韓国だろうと。

高橋)しかし、韓国独自のものはほとんどないので、アメリカの特許に依存しているはずであり、最後はアメリカに切り崩されると思います。特許の話を持ち出して。

飯田)つくらせないぞと。

高橋)つくらせないと言われれば、道連れになってしまうでしょう? だから韓国は股裂きのような状態になっているのだけれど、はっきり決めた方がいいのです。

韓国を取り込むアメリカ 〜先を見ることができない韓国

飯田)尹政権はアメリカに対して、いままでの文在寅政権に比べれば親和的になるのではないかと言われていましたが、中国側になびくのが早かったですね。

高橋)このままでは必ず股裂きになってしまって、韓国経済がダメになってしまいます。目先の話として中国に依存しているのだけれど、根本的な部分ではアメリカの技術に依存しているのです。当然、アメリカも韓国を切り離さない。韓国をこちら側に入れないと、そこから漏れてしまってはダメなのです。

飯田)情報などが。

高橋)あとは半導体の製品や技術なども漏れてはいけない。だからアメリカは韓国を必ず取り込んでいくはずです。少し先を見れば、どちらに属したら得なのかわかりそうなものですが、韓国の人は意外にわからないのですかね。

韓国が米中のどちらにも都合よく振る舞うことは難しい

飯田)アメリカは対中国を考えて、かなり角を付き合わせる状況になってきている。当然ながら「お前たち、漏らすなよ」というような、韓国に向けるのと同じ圧力が日本にも向けられるのですよね。

高橋)もちろんあるでしょう。いまのところは、「経済版2プラス2をやるということはわかっている」という言い方です。どっちつかずということになると、最後は安全保障に関わってくるでしょう。韓国も最後、安全保障に関わってきたらどうするのかと思ってしまいます。文在寅さんは高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)を追加配備しないと言っていましたが。

飯田)ミサイル防衛システム。

高橋)朴槿恵元大統領のときに決めたことで、文在寅政権は左派だから違っていたのですが、一応まだTHAADがありますからね。

飯田)これをつくるときに韓国は中国から相当、経済制裁を受けました。

高橋)参ったのだけれど、これから都合よく振る舞うのは難しいですよ。民主主義国と非民主主義国、専制国家では必ず分断されます。デカップリングされるのは確実だと思います。どちらにもいい顔をしようという動きは難しくなると思うのだけれど、韓国の人にはわからないのでしょうか。半島国家だから、どうしても大陸の方の話は怖いのですかね。

飯田)陸を通じて攻め込まれる可能性があるので。