キャスターの辛坊治郎が9月26日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン政権が予備役の招集を決めるとともに、予備役男性の出国禁止に乗り出そうとしていることについて、「プーチン政権の断末魔だ」と指摘した。

ロシア・モスクワ州の招集事務所近くで、動員を受けて家族に別れを告げる男性(右) 2022年9月26日(タス=共同) 写真提供:共同通信社

ロシアのプーチン大統領がウクライナでの戦闘継続のため部分的な動員令に署名したことを受け、モスクワやサンクトペテルブルクなどロシア各地で24日、抗議デモが行われた。人権団体によると、治安当局は34都市で820人を拘束したという。

辛坊)ロシアがだいぶ無茶苦茶なことになっています。予備役が約2500万人いるらしいのですが、このうち30万人を動員すると発表されています。しかし、発表文書を詳細に読んでも「30万人」とはどこにも書いてなく、記者会見で言ったにすぎません。プーチン大統領が実際に署名した文書に動員数が書かれていないので、百万人単位ではないかという説もあります。だから、2500万人ともいわれる予備役の人たちが「もしかすると自分も対象になるのではないか」と疑心暗鬼に陥り、次々に国外へ脱出しているわけです。

こうした国外脱出の動きについて、ロシアのラブロフ外相は当初、記者会見で「なぜ、こんなに多くのロシア人が外国へ出て行っているのか」と質問され、「ロシアには移動の自由がある」と答えているんです。ところがここにきて、予備役の男性を近々、出国禁止にするということが伝えられています。前に言っていたことと全然違うじゃないですか。ここに、ロシア当局としてはまさかこんなに多くの国外脱出者が出るとは予測していなかった慌てぶりが見て取れます。

ここで注目しなければならないニュースがあります。ロシア当局は今、大量に兵士をかき集めて戦線に送り込んでいます。しかし、モスクワやサンクトペテルブルグのような主要都市ではそれほど招集しておらず、少数民族の住む地方都市で大規模に招集しているようなんです。人口の多い主要都市で大規模招集をかけると、噂がどんどん広がってしまいますが、少数民族の住む地方都市はマスコミの目が届きにくいため、かなり無茶な招集をしても主要都市にはその話があまり伝わってきませんからね。

今回注目すべき点は、抗議デモは主要都市以外にも、少数民族の住む地方都市でものすごい勢いで起きているということです。というのも、そうした少数民族の住む地方都市から招集された兵士がこれまでに次々に亡くなっています。それで、反戦運動が地方都市で火を噴いているわけです。ひどい話ですが、こうした反戦運動に関わっている人たちをその場で官憲が取り押さえ、そのまま前線に送り込んでいるという見方もあります。

ロシアは旧ソ連時代にアフガニスタンへ侵攻し、約10年間の戦争をしました。旧ソ連兵は全く士気が上がらず、逆に山岳地帯のゲリラ戦で自分の国を必死に守ろうとしたのがアフガニスタン兵です。ウクライナ侵攻も同じ構図ですよ。約10年間の戦争で亡くなった旧ソ連兵は一万数千人ですが、西側の推計によると2月に始めたウクライナ侵攻で亡くなったロシア兵は少なくとも1万5000人、最大で数万人です。つまり、わずか約半年間の侵攻で亡くなった兵士の数が10年間の戦争に匹敵するか、それ以上だということです。

アフガニスタンへの侵攻では、亡くなった旧ソ連兵の親族らが嘆き悲しんでいる姿が国民の間に広がっていき、世論に押される形で侵攻が終わりました。当時の統治者がゴルバチョフ氏という非常に開明的な人物だったということも大きく影響しているでしょう。では、ウクライナ侵攻でも同様のことが起きるのかというと、プーチン体制が終わらない限りなかなか難しいかもしれません。とはいえ、部分的動員や予備役男性の出国禁止からは、プーチン政権の断末魔や焦りが見えてきたという印象があります。