地政学・戦略学者の奥山真司が11月29日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国の「人質外交」について解説した。

中国の習近平国家主席(タイ・バンコク)=2022年11月19日 EPA=時事 写真提供:時事通信

中国の習近平国家主席(タイ・バンコク)=2022年11月19日 EPA=時事 写真提供:時事通信

垂駐中国大使、中国で拘束のアステラス製薬社員と初面会

飯田)中国に駐在する垂秀夫大使が11月28日、拘束されているアステラス製薬の50代の男性社員と初めて面会しました。当時の林外務大臣が訪中した際、「せめて領事面会くらいはさせろ」と要求し、認めさせていたはずですが、ようやくですね。

奥山)これは人質外交ですね。2018年にもカナダで似たようなことがありました。ファーウェイ創業者の娘で、当時の副会長だった孟晩舟氏がアメリカに行くところを、米国の要請を受けたカナダ当局に拘束された。

ファーウェイ副会長の釈放後、中国で拘束されていたカナダ人も解放

奥山)中国側はそれに対抗し、2人のカナダ人男性を拘束しました。2人ともマイケルという名前で、1人は元外交官の方です。孟晩舟氏が拘束されていた間、カナダ人の2人はほぼ3年間、拘束されていたのです。片方のマイケルさんは拘束されていた間、世界がコロナ禍になっていることを知らず、浦島太郎状態で「世界はこんな大変なことになっていたのか」と驚いたそうです。そのくらい非人道的なことを行っていたのです。

飯田)コロナ禍を知らなかった。

奥山)もちろん中国側は「人質外交をしている」とは言いませんが、孟晩舟氏の拘束が解かれたあとに2人のカナダ人を帰国させており、明らかに取り引きとして行っている。我々はこのような隣国と外交しなければならないのです。

飯田)中国はカナダだけではなく、外交上でぶつかる国に対しては易々と拘束しますよね。

中国で拘束されていた豪女性キャスター、ようやく解放され帰国

奥山)中国の国際放送CGTNでキャスターを務めていた、中国系オーストラリア人のチェン・レイさんは3年以上、中国当局に拘束されていました。その方がようやく今年(2023年)の10月、オーストラリアに帰国されています。一応、非人道的なことはされていないのですが……拘束されているだけで十分、非人道的なのですが。お子さんもいらっしゃる方です。

飯田)3年以上拘束されていた。

奥山)帰国したとき、オーストラリアのテレビのインタビューで「中国にもう一度行きますか?」と問われ、「私は既に10年間ほどビザがおりないので行けませんし、複雑です」と言うしかないという状況です。家族に対して負担になるようなことを、あえてやってくるのです。彼らは人道を考慮しない国なのかも知れませんが、パーソナルなレベルで人質外交をされると、拉致問題と同じような状況になりますし、日本としても相当厳しいですね。

カナダの場合、解放に向け、国民が声を上げ、メディアを盛り上げた

飯田)日本国内も「明日は我が身」と思わなければいけませんね。

奥山)カナダの場合、カナダ国民が「これは問題だ!」とメディアを盛り上げていました。日本国民やメディアも声を上げていかないと、これが続いて「北京側が味を占めてしまう」という悪いサイクルが続くことも考えられます。

飯田)彼の国とは違い、我々の国では報道の自由や言論の自由がある。声を上げる言論の怖さに関しては、拉致問題をめぐる日本国内の盛り上がりに北朝鮮が恐怖を感じたという話を聞いたこともあります。

奥山)それはあります。我々は中国側にしっかりと示していく必要があると思います。