三菱電機「新旧社長」が醸成してきた企業風土

三菱電機「新旧社長」が醸成してきた企業風土

 三菱電機は21日、4月1日付で杉山武史副社長(61)が社長に昇格する人事を発表した。柵山正樹社長(65)は取締役会長に就く。同社はFA機器などの中核事業が好調に推移。2020年度の売上高5兆円という目標達成にめどが付き、次の成長ステージを描く段階に入る。柵山氏は「新リーダーの元で挑戦するのが良い」と交代理由を説明。杉山氏は「既存事業の磨き上げとともに、異なる事業部の製品をつなぎ、シナジー創出を加速したい」と抱負を語った。

 2014年に就任した柵山氏は非中核事業の売却などで体質強化に取り組んだほか、成長事業に積極投資し、20年度の売上高5兆円への道筋を付けた。杉山氏の長所について「現場に近い視点で競争力強化を図れる。また成長戦略を企画し、スピーディーに実行できる」と話した。

 杉山氏は自動車機器、通信機器、生産技術部門を経て、今は空調や家電の家庭機器部門を統括している。幅広い経験が強みで、「各事業本部に横串を刺す形で体制を強化し、新たな成長けん引事業をつくりたい」と語った。また「21年度以降も成長の旗を掲げる」と宣言。「製品売りに加え、保守やサービスといったビジネスも伸ばしたい」と説明した。

【略歴】杉山武史氏 名大工卒、同年三菱電機入社。11年リビング・デジタルメディア事業本部副事業本部長、14年常務執行役、16年専務執行役、17年副社長。岐阜県出身。
杉山さんってどんな人?
 携帯電話メーカーの看板を下ろす決断をした2007年度、その工場の所長だった。「本当につらかった」。しかし「携帯通信の技術は残せる。従業員に生き生きと働ける職場環境を提供することも大事」と前を向いた。

 座右の銘は「人心一真」。仕事に真心を込めることの大切さを教えてくれたという。「実直」と同社首脳も評する。イタリアの空調機器メーカーであるデルクリマの買収でも「お金を多く出すとか申し出てはいない。良い技術を持つデルクリマに、当社グループに加わってほしい」とオーナーを真っすぐ口説き、PMI(買収後統合プロセス)もスムーズに進めた。

 三菱電機らしく現場を大事にする。柵山社長は「(杉山氏が)製作所長の時、モーターの改善について“自慢話”を披露してくれたことが印象に残っている」と笑う。

 週1回はジムで汗を流す。息子3人は独立し、妻と2人暮らし。
(後藤信之)

【ファシリテーターのコメント】
「小さく生んで育てる」というのも、次期社長の杉山副社長の信条。それによりスピードが上がり、失敗しても痛手を少なくできるという。柵山社長は失敗した人が再び頑張れる土壌づくりに腐心してきた。変化が激しい時代。杉山氏にはどんどん小さなチャレンジをして進路を探ってほしい。会見では、杉山氏の真っ直ぐな目で話す姿が印象的だった。「まじめな印象の杉山副社長ですが、ギャップは?」と柵山社長に尋ねてみたが、「ない。見たまんま」とのこと。
後藤 信之


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