―2021年の見通しは。

「新型コロナの業績への影響は思ったほどでなかった。夏には大型案件が動きだすだろう。期待は首都圏の駅周辺など再開発事業案件。激甚災害が頻発し、インフラ投資が重要になっている。土木も安定的に受注があり、心配はない。不振の宿泊施設や交通インフラなども工事がなくなったわけではない」

―コロナの影響で働き方が変わりました。

「すでに現場業務の集約を進めているが、現場と本・支店での伝達業務や会議のデジタル化が促進された。電子契約など対外的なことや社内のペーパーレス化も進めている。調達もできる限り本社で対応する」

―建設業界の人手は不足していますか。

「今は人手に余裕はあるが、今後、増えることはないだろう。入職を促すには彼らの年収を増やす必要がある。また、現場のロボット化や自動化による労働環境の改善もゼネコンの役割だが、まずは協力会社が仕事を安定的に続けることが重要だ」

―今春には中期経営計画を発表します。

「経営方針として、外部環境の変化に左右されない持続した成長を目指すことを掲げている。10年後の2030年に向けた長期ビジョンを策定する。今回はその第1ステップとなる3年ごとの計画を作成する。柱は異業種とのオープンイノベーションの促進、ESG(環境・社会・統治)経営、国連の持続可能な開発目標(SDGs)環境経営の強化、収益源の多様化などになるだろう」

―技術開発の目玉は。

「新中計では環境経営も軸になる。ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)技術の向上で、二酸化炭素(CO2)削減に貢献できる。発電も太陽光発電、陸上と浮体式の洋上風力発電事業を強化する。5、10年後に向けた準備に入る」

―海外事業は。

「大型プロジェクト対応が中心のビジネスモデルだったが、波が大きく安定せず人材も育たない。東南アジアを対象に現法を設置する一方、政府開発援助(ODA)などの大型プロジェクトはチームで取り組む2本立てで対応する」

大成建設社長・相川善郎氏

【記者の目/持続成長へ盤石の備え】

新型コロナウイルスの影響で、昨年は計画していた設備投資を消化できなかったが、積極投資の姿勢は変わらない。弱点を補強する技術の獲得、技術者の確保などを目指した各種提携やM&A(合併・買収)。さらに不動産開発に、営業力強化や人材育成など多岐にわたる。持続的な成長に向け、盤石の備えを急いでいる。(編集委員・山下哲二)