SUBARU(スバル)が、個性ある車作りの質を一段と高める取り組みを進めている。自動車の世界販売が頭打ちになる中、同社は米国販売の好調を維持し、成長をとげてきた。ただ、この数年は完成検査問題などで失態を演じ、足元ではコロナ禍や世界的な半導体不足という困難に直面する。サプライヤーと共に取り組む品質改革、そしてトヨタ自動車との協業を推進し、壁を乗り越える構えだ。(群馬・松崎裕)

現在、スバルは世界的な半導体不足により、日米拠点で完成車の生産調整を続ける。国内唯一の工場がある群馬製作所(群馬県太田市)の生産も停滞し、地元サプライヤーへの影響は計り知れない。

ここ数年、スバルは困難に見舞われた。2017年に発覚した完成検査問題、19年の台風被害、新型コロナ問題などで生産が停止した。

同社の世界販売シェアは1%程度。生産車種を絞り、より多くの部品を共通化することで収益性を高めてきた。一つの不具合が大規模リコール(無料の回収・修理)に発展したり、業績やサプライヤーに大きな影響を与えたりするリスクを抱える。

問題の一つは米国販売の急成長に品質管理が追い付かなかったこと。そこで部品の開発段階からサプライヤーと連携し、不具合につながりそうな課題の芽を摘む取り組みを推進する。

スバルの中村知美社長は「品質改革を一番に進めている。お客の期待を裏切らないようにしたい」と何度も強調する。地元からは「米国販売が好調で車を作れば売れるので、耐えるサプライヤーは多い」(群馬県内の産業団体関係者)との声が挙がる。サプライヤーの期待をバネにコロナ禍でもサプライチェーン(供給網)を磨く。

2020年2月、スバルはトヨタからの追加出資の受け入れが完了し、トヨタの持ち分法適用会社になった。連携を強化し、研究開発費が増加するCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)領域の開発や生産効率化を進める。

スバルは2030年までに全世界の車両販売台数の40%以上を電気自動車(EV)とハイブリッド車(HV)にする目標を掲げる。達成に向け、20年代前半にもトヨタと共同開発するEV専用プラットフォーム(車台)を採用した初のEVを市場投入する。

車作りでトヨタ化しない―。トヨタの追加出資の発表直後、中村社長はスバルらしさを維持する基本姿勢を強調した。新技術の獲得に向けた連携や共同開発は進めるが、スバルらしさを追求した車作りは妥協しない。

例えば21年に市場投入する共同開発スポーツカーの次期モデル。スバルは新型「BRZ」として、トヨタは「GR86(ハチロク)」として発売する。基本性能は共有しつつも、走行時の乗り味で違いを出す。

トヨタの力を借りて強みを発揮できる得意分野に経営資源を集中。またサプライヤーとの協力を深め、他社にはない個性ある車作りにこだわり、生き残りを図る。