ニチコンは新しい手法を採用した放熱技術を事業化するためオキツモ(三重県名張市)、KISCO(大阪市中央区)と業務提携した。機能性塗料を手がけるオキツモと東北大学が開発したメタマテリアル放熱シートを量産化するのが狙いで、すでに15センチメートル角のシートタイプが完成し、サンプル出荷が可能になった。今後量産技術を確立し、第5世代通信(5G)スマートフォンなど向けに早期の発売を目指す。

オキツモと東北大学が開発した放熱シート「VSI(ヴィサイ)」は、電子デバイスの熱源が発する赤外線の波長を選択的に放射し樹脂製の筐体(きょうたい)を透過させて外部に熱を逃がすのが特徴。量産化に課題があったため、3社による協業で早期に実用化し、市場が拡大している電子機器、車載、LED照明機器など樹脂製密閉筐体の需要を取り込む。

ヴィサイをスマホCPU(中央演算処理装置)の放熱材に使用し一定の環境で検証した場合、従来放熱材に使われるグラファイトシート使用時に比べ、CPUの温度が1・12度C、カバー背面の樹脂表面温度は1・95度C下がった。熱伝導型の放熱材に比べ、熱源そのものの温度抑制や樹脂筐体のヒートスポットを解消できる。

量産化に向けてニチコンの電極箔開発におけるエッチング技術や、KISCOの形状加工、接着材などの知見を融合することでグラファイトシートの2倍程度の価格を目指す。

モバイル機器などの熱課題に合わせグラファイトシートの国内市場は年約500億円規模に上るという。このうち、スマホなど樹脂製筐体を使用する機器の市場を取り込みたい考えだ。