セメントの内需の回復が遅れている。セメント協会が公表した2021年4―6月のセメントの国内販売は前年同期比1・8%減の922万4000トンだった。20年同期は1回目の緊急事態宣言でゼネコンの工事が止まり、その反動増で21年は前年を上回ることが予想されたが、振るわなかった。セメント協会は、詳細な要因分析を急いでいる。(大城麻木乃)

予測はずれる

「もう少し出てくると思ったのだが…」。21日、セメント協会の会見で、協会幹部は4―6月の国内販売が前年割れとなったことに肩を落とした。

協会が2月に公表した21年度の内需見通しは前年度比1・0%増のプラス。年度初めから前年度よりマイナスとなっている状況に「(予測がはずれ)反省しなければいけない」(セメント協会幹部)と語る。

同協会はマイナスの要因を人手不足による工事の遅れに加え、コロナ禍で感染症に対応した建物への設計変更による工期遅れ、景気悪化に伴う民間設備投資の減少などを挙げる。

だが「十分調べきれていない。もう少し詳しく調べる必要がある」(同)とし、詳細な分析を進める。

地区別でみると、一部で回復の兆しはある。国内販売の4分の1を占める東京など「関東一区」は、森ビルの虎ノ門・麻布台プロジェクトをはじめとした再開発工事の本格化で6月は前年同月比4・6%増に伸長。北海道も新幹線の延伸工事が進み6月は同3・3%増だった。

居住用はプラス

セメントの民需に対し3カ月ほど先行する建築物の着工床面積は居住用、非居住用ともに3月以降、前年同月比プラスが続く。住友大阪セメントの諸橋央典社長は「そろそろセメント需要は回復してくる」と期待を示す。

実際、7月は15日現在で同2・1%増のプラスとなっている。東京五輪の開幕に伴う交通規制などがセメントの出荷に影響を与えそうだが、現時点では「影響は軽微」(セメント協会)とみている。

振り返ると、20年度の今頃も「工事は遅れているだけで下期には回復する」との声が業界関係者から多く聞かれた。だが、実際には下期もセメント需要は戻らず、前年度割れとなった。

本当に需要はあるが工事が遅れているだけなのか。それとも代替素材への置き換えや人口減少による住宅需要などの落ち込みがセメント内需にも響いているのか。セメント協会による詳細な要因分析が待たれる。