住宅設備大手が気分やニーズに応じて選択可能なトイレ空間を相次ぎ提案している。TOTOは東京・大手町の三菱地所の新オフィスビルで、「ひらめき」や「おちつき」など四つのコンセプトに基づくトイレ空間を演出。利用者が気分に応じて選べるようにした。LIXILは公共トイレで、乳幼児連れや人工肛門使用者(オストメイト)などニーズの異なる利用者に応じた六つのトイレ空間を提案する。トイレは用を足す以外の用途でも使われており、多様な空間を用意して利用者の幅広いニーズに応える。(大城麻木乃)

TOTOは三菱地所が開発したオフィスビル「常盤橋タワー」に「ひらめき」、「おちつき」、「いきぬき」、「くつろぎ」の四つのトイレ空間を用意した。ひらめきなら、壁や天井などの壁紙の色を明るいホワイト基調に、おちつきならダーク基調とし、コンセプトに応じた雰囲気が味わえる。

同社調べによると、仕事のモチベーションに影響する場所の第1位が「トイレ・化粧室」、2位が「食堂・カフェテリア」となっており、オフィスワーカーの半数が「トイレで気分を切り替えたい」と感じているという。こうしたニーズに応じ、壁紙以外にも、便座に座ると流れる音楽を鳥のさえずりや流水音などコンセプトに応じて変化させ、気分転換できるようにした。

LIXILは、乳幼児連れならおむつ交換台、オストメイトなら専用の流し台を備える六つのトイレ空間を用意、9月5日まで期間限定で東京・台場に特設展示している。近年、公共施設を中心にバリアフリートイレが急速に普及しているものの、一つのトイレ空間に乳幼児連れ、オストメイト、車いす使用者向けなどさまざまなサポート設備が集中し、車いす使用者にとって使い勝手の悪い空間になるなどの課題が生じている。

LIXILは物流施設で使われている自由に設置場所を変えられるブース「ウィズキューブ」を使い、ユーザー別のトイレ空間を用意し、それぞれの利用者にとって快適な空間になるよう工夫した。車いす使用者向けなら、いすから便器へ移乗しやすい手すりを設置するだけで、おむつ交換台などは省いた。それぞれが自分が求める空間を利用することで、混雑を回避でき、例えば車いす使用者が使いたい時に使えないといった問題を解消できる。

車いす使用者向けの手すりのついたトイレ空間

トイレブースを一つしか配置できない狭い場所では導入は難しいが、「国立競技場といった大きな施設への納入を想定している」(ウォーターテクノロジー営業本部)という。

世界有数の“トイレ先進国”の日本では、利用者のトイレ空間に対する目も肥えている。各社とも多様なニーズに応じた製品をいち早く提案し、選ばれる企業を目指す。