好調が続く電子部品業界に減速リスクが浮上している。半導体不足によるスマートフォンの減産可能性と原材料高だ。大手各社の増益トレンドに変化はないが、巣ごもり需要の剥落をスマホ向けで補う当初シナリオが崩れる恐れがあり、さらに原料価格の上昇が続けば7―9月期以降の利益に影響を与える可能性がある。

「第2四半期以降、徐々に下げていくだろう」。村田製作所の村田恒夫会長はスマホ需要をこう見通す。同社製品を搭載するスマホ台数の21年度見通しを4月時点の15億2000万台から14億8000万台に引き下げた。

半導体不足や新型コロナ感染再拡大でアセアン諸国を中心にロックダウンが実施され、中華圏のスマホメーカーは生産調整に入った。このため「4―6月の中国スマホの生産台数は期初想定していたより10%以上、下振れた」とTDKの山西哲司専務執行役員は明かす。中華圏メーカーの生産調整は下期にかけて続くとみる。

中国以外の地域でハイエンド機種の生産が立ち上がることなどを理由に、スマホ全体の落ち込みは限定的との見方が足元では主流だ。ただ直近で米アップルも半導体不足から7―9月の成長が減速するとの見通しが広がっており、先行き不透明感は拭えない。

もう一つの懸念材料が原材料高。TDKのエナジー応用製品事業の4―6月の営業利益は前年同期より約25%減少した。リチウムイオン二次電池の原料であるコバルトの価格急騰が一因だ。コバルト価格は足元で年初比6割近く値上がりしている。同社では顧客との価格交渉で価格転嫁を進める方針だ。

アルプスアルパインは「金や銀を使用するプリント基板や、半導体を組み込んだ液晶パネル、原材料などの価格の値上がりが、4―6月の連結営業利益を15億円押し下げた」(池松裕史経営企画室長)という。

また、棚卸資産も原材料などの分が約322億円と、前年同期より13%増加している。「顧客が半導体を入手したらすぐに生産できるように」(同)との理由に加え、今後も原料価格は高値を維持するとみて、在庫を厚くしているとみられる。ただ仮に棚卸資産の増加が続けば、キャッシュフローの観点からはマイナスが大きくなる。


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