日本製紙は脱炭素やプラスチック削減ニーズに対応し、木材パルプ由来のCNF(セルロースナノファイバー)強化樹脂を量産する。富士工場(静岡県富士市)の実証設備に量産可能な中型二軸混練機(押し出し機)を新設し、マスターバッチ(中間加工体)の生産能力を従来比5倍の年50トン以上とした。製紙各社がCNF開発でサンプル供給を進める中、日本製紙は自動車や家電、建材メーカーとCNF強化樹脂の用途開発を加速。本採用に向け、量産技術の確立で先行する構えだ。

CNFは鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上の強度を持つバイオマス素材。CNF強化樹脂はポリアミド(PA6)、ポリプロピレン(PP)などの樹脂にCNFを均一に混練・分散し、高強度や加工しやすいのが特徴だ。

日本製紙は宇部興産とともに、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「革新的CNF製造プロセス技術開発」に採択され、中核となる中型二軸混練機などを設置した。

富士工場では2017年にCNF強化樹脂の実証生産設備を立ち上げた。パルプを疎水(親油)化し樹脂を混ぜ合わせつつ繊維を解きほぐし、CNFを中間加工体で30―50%配合。サンプル採用で実績を積み、今回量産設備を導入した。

併せてCNF強化樹脂の設計・開発・製造で、品質管理の国際規格「ISO9001」の認証も取得した。

CNF強化樹脂は密度が低いため車両などを軽量化でき、樹脂にないマテリアルリサイクル性を持つ。自動車関連ではタイヤホイールフィン向けなどに試験提供している。

NEDOはCNFの市場規模目標を30年に2兆円、50年に6兆円としている。業界ではレンゴーがCNFのパイロットプラントを完成し、試運転を始めた。大王製紙は21年度中にCNF複合樹脂ペレットのパイロットプラントを稼働予定。