北海道大学の高橋啓介准教授と高橋ローレン学術研究員、北陸先端科学技術大学院大学の谷池俊明教授らは、触媒反応6万件の実験データから収率や組成などを俯瞰(ふかん)する「触媒世界地図」を描くことに成功した。反応条件などの関係性をどのように概念化したかを記述するオントロジーの概念を使って一覧できるようにした。この俯瞰図から新触媒を見いだし、活性を実証した。この研究手法は研究者の経験知をデジタルに共有する基盤になる可能性がある。

研究グループはメタン酸化カップリング反応を対象に多くの触媒データを高速で自動取得できる「ハイスループット実験装置」を開発し、6万件の実験データを集めた。この反応条件や実験結果を基にオントロジーで地図を作成する。例えば、収率12%以上で調べると、反応温度や触媒に含まれる元素などが一覧される。

この元素組成や反応条件は研究者の視点からも妥当な推薦になっていた。そこでシステムが提案する触媒組成で実際に実験したところ、カリウム・バナジウム・ユウロピウム・バリウム酸化物など新触媒が見つかった。

新手法は他分野にも適用できるため、排ガス触媒や二酸化炭素(CO2)の還元触媒などに応用する。研究者の経験知をデジタルに可視化して共有できることが期待される。

成果は英科学誌「ケミカル・サイエンス」電子版に掲載された。

開発したハイスループット実験装置(北大提供)