東亞合成の家庭用瞬間接着剤「アロンアルフア」が誕生し、50年を迎えた。接着するまでの時間の短縮、使い勝手の良さなどを追求し、瞬間接着剤の代名詞としての地位を確立してきた。コロナ禍での“巣ごもり”を追い風にさらなる需要拡大が期待される中、利用者に寄り添った製品開発で進化を続けていく。(前田健斗)

東亞合成は、10月には家庭向けで新たに「タフパワー」を発売する。従来品と比べて耐熱・耐水性を高めたほか、これまで二重構造だった容器を刷新してフタの開け閉めなど利便性を向上させた。同社の接着材料事業部は「接着の強さや早さ、使いやすさの追求にゴールはない。これからも突き詰めていく」としている。

同社は1963年に工業用の接着剤を発売した。それを釣り具に応用した釣り愛好家の声をヒントに釣り具用「釣名人」を投入。乗用車をつり上げる映像がテレビ番組で流れるなどして注目が集まり、71年には広く家庭向けの販売に乗り出した。

当時の接着剤には水で溶かした木工用ボンドや、アセトンなど溶剤を含んだものがあった。しかし、乾燥させる手間や臭気などが課題だった。そのような中、原料が水分に反応するだけで瞬間的に固形化するアロンアルフアは、その手軽さから瞬く間に市場に広まった。

接着の早さは素材によって変わるが、発売当初と比べて塩化ビニールは5秒から1秒、アルミニウムは45秒から10秒と、いずれの素材も4分の1程度に短縮している。これは同社のテレビCMにも現れており、最新のCMは接着場面が3秒で終わってしまう。ゴルフボールの上で回るコマを止めるなど特徴を捉えた数々の“ノンフィクション”CMでブランド力を高めてきた。

「使い勝手の向上は、脇役の活躍がカギを握る」(同社)というように、関連製品を充実させる姿勢もロングセラーの秘訣(ひけつ)だ。20年に、接着時間を縮める硬化促進スプレーを投入。それまでもゼリー状の促進剤を提供してきたが、使いやすさを考慮してラインアップを拡充した。水分が乏しい材質の接着などに効果的とされ、どんな材質でも固まるまで1秒かからないという。

アロンアルフア誕生前、アクリル製品を手がけていた59年、伊勢湾台風の影響でモノづくりが困難となり、調査研究活動を重視。原料の構造が似ている接着剤に着目して難局を乗り越えた。今後、どのようなピンチに遭遇しても当時のようにチャンスに変えて成長できるか、100年に向けた道のりは始まったばかりだ。