高エネルギー加速器研究機構の高木秀彰助教らは、牛乳のミクロ構造変化を解明し、温度に対し敏感に変わることを発見した。10度Cから40度Cまで加熱すると、牛乳の主成分であるカゼインたんぱく質が作るミセルの内部構造が大きく変化し、冷却するとすべて元に戻ることが分かった。母牛内の温度変化でも構造変化する。乳製品の加工性や味、食感に大きく影響する殺菌温度などの生産方法改善や、母牛の体温管理による高品質な牛乳生産につながる。

牛乳は直径約100ナノメートル(ナノは10億分の1)のカゼインミセルからなる。同ミセルの詳細構造は現在も未解明だが、研究グループはこれまでに、ミセル内部に10ナノメートル程度の水領域である水ドメインと数ナノメートルのリン酸カルシウム微粒子が存在するミセル構造モデルを提唱してきた。

今回、非破壊でその場測定できる放射光X線小角散乱(SAXS)法を用い、たんぱく質が熱変性しない10―40度Cの範囲で牛乳の構造を解析した。

その結果、ミセルのサイズは温度変化で大きくは変わらないが、内部の微細な構造は温度に敏感に対応し、加熱により水ドメインは半径11ナノメートル以下から同16ナノメートル以下にまで膨張した。また、ミセル外にあるカルシウムと無機リンがミセル内部に取りこまれ、新たなリン酸カルシウム微粒子を形成してその数が増えることが分かった。

冷却すると、これらは全て元に戻った。

南日本酪農協同(宮崎県都城市)、鹿児島大学、山梨大学などとの共同研究。