国内で車載部品向け銅需要の調整が続いている。半導体など部材不足に伴う自動車減産の影響が長引き、黄銅コイル(黄銅条)生産量は8カ月連続の前年割れとなった。足元では、自動車の挽回生産に向けた動きを受けて需要の持ち直し期待が高まるが、生産量の変化は鈍い。伸銅品流通では、国際相場の不安定化などを背景に伸銅品の値崩れへの警戒も根強く、予断を許さない状況が継続している。

日本伸銅協会によれば、自動車の端子やコネクターなどに加工される黄銅条の8月生産量(速報値)は、前年同月比0・8%減の6860トンと8カ月連続のマイナス。半導体など部材不足に伴う自動車減産が長引き「各伸銅品メーカーでは受注残の解消が進んでいる」(東京都伸銅品商業組合の天野晴信マーケットリサーチ委員長)という。

タッチレス水栓金具など住宅リフォーム向け需要が好調な黄銅棒も、車載部品用途は振るわない。住宅部材不足などに伴う新築物件向けの不調も重なり、8月の黄銅棒生産量は同3・6%減の1万3367トンと8カ月連続の前年割れとなった。

市中では「車載用コネクターの在庫消化が進み、自動車の挽回生産に向けた動きが始まっているとの声が伸銅品メーカーで増えた」(日本伸銅協会調査部)が足元の動きは鈍い。「伸銅品生産の立ち上がりは緩やかなものとなるのではないか」(同)との見方がある。

日本伸銅協会は26日、2022年度需要の改定見通しを公表し、下半期の黄銅条需要を4万7400トンと3月公表値から8%減らした。半導体の増産を背景に「自動車生産の回復が始まると予想」するが、在庫消化や自動車全体の長い供給網でのタイムラグも踏まえると、車載向け需要の持ち直しは勢いを欠くことになりそうだ。

また、伸銅品流通では、ドル高・円安を背景に依然高値にある銅価格への警戒感も根強い。伸銅品の価格指標となる電気銅建値は、足元でトン当たり113万円と6月の高値比で約17%安いが、国際相場の高騰前の21年初頭比では約3割高い。

主要国景気の後退懸念で弱含む銅の国際相場が一段安となる場合や、外国為替の円高反転時には、伸銅品在庫の評価損が膨らむリスクがある。黄銅棒問屋では「在庫の積み増しが難しく、(必要分だけ調達する)当用買いが続いている」(東京都伸銅品商業組合の西山栄一マーケットリサーチ委員)という。

当面は自動車の生産動向や銅相場を注視する状況が続きそうだ。


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