NTNはマイルドハイブリッド車(MHV)の燃費性能を高めるエンジンベルト張力調整装置「2アーム式補機オートテンショナー(AT)」を開発した。装置を一つ組み付けるだけで済み、エンジンの振動と騒音も抑える。MHVは世界の自動車市場で現状の数%から2025年には15%に広がると予測される。NTNは30年度に10億円の販売を目指す。

2アーム式補機ATはカーエアコンやウオーターポンプなど補機を動かすエンジンベルトの張力を調整する装置。ベルトに接触し張力を調整するベルト車(プーリー)をアームの先端にそれぞれ一つ、計2個備える。MHVは静止、発進、走行と運転状態を変えるたびにベルト2カ所で必要な張力に変えている。

NTNはこれまでエンジン車用の油圧式補機ATのみ手がけていた。2アーム式補機ATはアーム間の角度が変化し、装置を二つ装着したのと同じようにプーリー2個が張力調整する。装置数を一つに減らせるので、エンジン車用の補機ATを二つMHVに装着する場合と比べ、重量を約60%軽くできる。加えて、プーリー2個が連動し適度に調整するため、張力設定の初期値が高い機械式補機ATと比べても、エネルギー損失を低減する。

競合他社も2アーム式補機ATを手がけるが、NTN製はアームの過度な揺動を板バネで抑える。これにより振動と騒音の抑制効果が高まる。大幅な軽量化と適度調整による低燃費化、振動と騒音の抑制効果で差別化する。

HVは補機ATが不要でモーターのみでも走行するストロングハイブリッド車(SHV)が中心だが、簡易で低コストのMHVも成長している。MHVはスポーツ多目的車(SUV)やスポーティー車、軽乗用車に多く、欧州車は大型車も含め増えている。NTNは2アーム式補機ATを先行技術として投じ、国内外で供給先を開拓する。


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