Jパワーや東京電力ホールディングス(HD)など5社は30日、浮遊軸型と呼ばれる次世代風車の共同研究契約を締結し、海上での実証に乗り出すと発表した。2032年の商用化を目指す。台風のような強風下で羽根が傾いても安定して発電できるアルバトロス・テクノロジー(東京都中央区)の風車開発技術を活用し、浮体式洋上風力発電普及のカギとなる製造コストの低減や国産化に取り組む。

共同開発する浮遊軸型風車はJパワーが大阪大学やアルバトロスと初期検討を進めてきたもので、今回、参画企業を東電HD、中部電力、川崎汽船に広げることで実証段階に進むことになる。

第1弾として、26年までの3年間で小型実験機を国内海域に設置し、設計手法などを検証。その後、メガワットクラスの大型機の海上実証段階に入る計画。一連の検証を経て、32年にも商用機の運用開始を目指している。

回転する円筒浮体で垂直型風車を支える今回のタイプは、最大出力時に20度傾くことを許容するため浮体を小型化でき、設備費用を大幅に削減できるという。発電機などの主要機器を海面近くに設置できることから保守や維持管理費用を抑えられる利点もある。さらに風車ブレードには日本企業が得意とする炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いていることから国産化につながる意義もある。

洋上風力は再生可能エネルギーの主電源化に向けた切り札と期待されるが、日本は遠浅の海が少なく台風のリスクもある。効率性と耐久性の両立が課題となっている。