トヨタ自動車は1日、米ノースカロライナ州で2025年に稼働開始を予定する車載電池工場に21億ドル(約2900億円)を追加投資すると発表した。工場拡張に向けたインフラ整備に充てる。また同年から米国で始める電気自動車(EV)の生産拠点を、ケンタッキー州の工場にすることも発表した。米国は補助金対象を北米で生産・調達したEVや車載電池に絞る優遇策を強めており、対策を講じる。

トヨタは21年11月に北米統括子会社が90%、豊田通商が10%を出資する車載電池生産会社を設立した。ハイブリッド車(HV)およびEV用電池を手がける予定で、現在、工場建設を進めている。今回の追加投資で、総投資額は計59億ドル(約8200億円)に達する見込みだ。ただ追加投資分は、30年までに計画するEV関連投資5兆円には含まない。

また25年から米国で初めて生産を始めるEVは3列シートのスポーツ多目的車(SUV)で、建設中のバッテリー工場で作った電池を使う。生産台数は需要に応じて決めるという。

米国では22年8月に成立した歳出・歳入法(インフレ抑制法)に、EVの購入者に最大で7500ドル(約100万円)の税額控除を盛り込んでいる。ただし北米で組み立てた車両に限り、車載電池も50%を北米で製造・組み立てる必要があるなど、自国生産を促す内容となっている。

トヨタは26年にEVの世界販売を150万台とする計画を掲げる。販売台数の約2割を占め、EV市場が急速に成長しつつある米国での販売拡大は重要テーマとなっている。車両と電池の生産の両面で対応を強化する。


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