DICは独自の溶解分離リサイクル技術を活用し、再生ポリスチレン(PS)の量産に乗り出す。2024年中に四日市工場(三重県四日市市)で処理設備を稼働させる計画で、年産1万トン規模のリサイクルPSペレットの供給体制を整える。エフピコと共同で取り組むPS製食品トレーの循環利用促進につなげるほか、リサイクルPSを環境配慮型の材料として川下メーカーに提案する。

黒色のPS再生ペレットを溶解し、着色成分を分離する新技術を開発した。黒色ペレットは色柄付きの廃トレーなどから得られるが、ハンガーなどの日用雑貨類に用途が限られる。新技術を活用することで白色の食品トレーなど無着色の再生材と同じ用途に使用でき、色柄付きPS製品の回収・再生や水平リサイクルの促進につながる。

DICと食品容器大手のエフピコは、食品トレーの循環型リサイクルの実現や技術確立に向けて協業している。量産開始の時点では、エフピコが小売店などを通じて回収した色柄付きトレー由来の黒色ペレットを活用する。

廃プラを洗浄・粉砕し、再生利用するマテリアルリサイクル材は比較的低コストだが、直接食品に触れる部位に使えないなどの制約がある。脱色処理した再生材はバージン材に配合し、食品に直接触れない層のトレー材料として再利用する。

DICは新技術から得られるリサイクルPSの利活用の対象品を広げたい考えで、加工・製品メーカーなど川下産業向けに再生材を提案する。その後は色柄付きPS製品由来のペレットの受け入れを増やすなど、リサイクル規模の拡大も視野に入れる。