川崎重工業は、2020年代半ばの実用化を目指す大型液化水素運搬船(イメージ)の貨物タンクの技術開発を完了したと発表した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業で、4基の合計搭載容量16万立方メートルの実物に近い規模で試験用タンクを設計・製作し、計画通りの断熱性能を得られることを確認した。大型液化水素運搬船を中核にした30年までの液化水素サプライチェーン(供給網)の商用化実証につなげる。

構造材や防熱剤の厚さなどを実船に即した構成寸法にすることで、組み立て、溶接、断熱材の施工性など新構造の成立性を検証した。ガス置換・冷却・昇温試験を実施し、タンク内の大空間が不活性化ガスにより効率よく置換できることや断熱性能を確認した。

商用化では水素をマイナス253度Cに冷却して液化し、体積を気体の800分の1にして海上で大量輸送する計画。外部からの侵入熱を低減できる球形状で、内外2層構造による2段階断熱などの新構造を開発した。