フジ・インバック(横浜市磯子区、田辺誠治社長)は、東南アジア諸国向けに自社開発無人機(UAV)を拡販する。マレーシアの企業に基幹部品を輸出し、現地部品で組み立てる体制を早ければ9月にも構築する。輸送の費用削減や日数短縮により、同国やタイ、ベトナム、インドネシアなどに売り込む。2023年度は5機、24年度は15機の販売を目指す。

拡販するのは「V6」や「W―2b」、「E7K」などで全長が2・5―3・0メートル前後、翼幅が4・7―5・5メートル前後。いずれもガソリンエンジンを搭載し、V6は最長で10時間飛行、W―2bは30キログラムまでの荷物を積めるなど長距離飛行や搭載能力に優れる。可搬重量2キログラム前後で30分程度しか飛べないリチウムイオン電池(LiB)搭載の空撮用飛行ロボット(ドローン)に比べ実用性が高い。

東南アジア諸国は日本と同様に、物流問題や国境警備問題を抱える。国境付近は軍施設の対空レーダーや監視レーダーが林立し「GPSが効かない空白エリアが数多くある」(田辺社長)という。

フジ・インバックの無人機は防衛省に納入し、自律飛行能力もあるため、東南アジアでも今後需要が広がると見る。高温や多湿など東南アジア特有の気候問題にも機体改造で対応し、「カタログ性能にはない現地で本当に使える能力をアピールする」(同)計画だ。

ドローン業界ではACSLがインドで機体の量産を始め、エアロセンス(東京都文京区)もマレーシアの熱帯雨林調査などに拡販を図るなど、アジア市場で攻勢をかける動きが目立っている。