飯田製作所(横浜市泉区、野渡透一社長)は、スーパーエンジニアリングプラスチックのポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)による高剛性・高耐熱ギア7タイプを開発し、1000rpm(毎分回転数)の回転運転で伝達効率98%程度を実現した。福島県からの補助を受け、このギアを組み込んだロボットアームの減速機の開発にも着手。軽量で高剛性といった利点を生かし、ロボットや航空宇宙、医療機器向け中枢部品での実用化を目指す。

飯田製作所は福島県本宮市に第1、第2工場を構え、フッ素樹脂(PTFE)を中心に耐熱性、摺動性、絶縁性に優れた工業用部品を自動車、建設機械、半導体向けに供給している。蓄積してきた樹脂加工技術をベースにポリプラスチックス(東京都港区)、ポリプラ・エボニック(東京都新宿区)から原料の供給を受け、剛性、耐熱性を持ち、軽量化を実現するギアを開発した。

開発したギアは7タイプあり、外輪タイプは金属材を回転中心部に使い、外側をPEEKとPEKを用いて射出成形で作製した。内輪タイプは全てPEEK、PEKで成形した。実証実験では優れた伝達効率や高耐久性を確認している。

このスーパーエンプラを用いたロボットアームの波動歯車減速機の開発が、2023年度の福島県の助成対象となった。高トルク、高精度な軽量樹脂へ鉄材料から置き換え、減速機の精度向上と軽量化を図る。

PEEK、PEKを使ったモーターギアは、従来の金属材から今後は数十%で置き換わっていくと見られている。耐熱性や高剛性、さらに耐放射線などに対応したロボット・無人航空機、航空宇宙分野などで駆動部の金属材料からの転換が見込まれる。