帝国データバンク(TDB)と東京商工リサーチ(TSR)が8日発表した5月の倒産件数は、TDBが前年同月比34・2%増の694件、TSRが同34・7%増の706件だった。TDBは13カ月連続、TSRは14カ月連続で前年同月を上回った。倒産件数がTDB、TSRともに600件を超えるのは、3カ月連続。増加傾向が鮮明になっている。

負債総額はTDBが同3・6倍の2797億4000万円、TSRが同3・2倍の2787億3400万円と大幅に増えた。ジャパン・イーエム・ソリューションズ(兵庫県加東市)、FCNT(旧富士通コネクテッドテクノロジーズ、神奈川県大和市)など大型倒産が影響した。

TDBの業種別は、7業種のうち「運輸・通信業」を除く6業種で前年同月を上回った。「サービス業」が159件で最も多く、15カ月連続で前年同月を上回った。

TSRの産業別は、10産業のうち「金融・保険業」「運輸業」を除く8産業で前年同月を上回った。TSRも「サービス業他」が251件で最多だった。前年同月を上回るのは9カ月連続。「製造業」は69件で、10カ月連続で前年同月を上回った。

TSRは「コロナ禍の出口を迎えたが、物価高、実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)返済、人手不足など、多くの課題が山積している。企業倒産は夏場に向けて増勢を強める可能性が高い」とみる。TDBも「経営者の『あきらめ倒産』の増加が予想され、今年後半にかけて倒産の増加ペースが早まる」と指摘する。