電線大手4社の2025年3月期連結業績は、全社が増収営業増益となる見通しだ。生成人工知能(AI)の急速な普及に伴って関連製品が各社伸長する見込みで、堅調な需要はしばらく続くとみられる。自動車向け製品や為替の円安も収益に寄与する。

電線4社 2024年3月期

住友電気工業の25年3月期は自動車用ワイヤハーネス(組み電線)が引き続き伸びるほか為替の円安により、売上高と営業利益が過去最高を達成する見込み。好業績だった24年3月期は円安で売上高が1734億円、営業利益が100億円膨らんだ。電力線や電子機器、金属素材も伸び、情報通信事業の営業損失をカバーした。

焦点は情報通信で、顧客が投資を抑制している。コロナ禍の部品不足で大量に在庫を抱えた情通機器の需要反動減が続く。井上治社長は「生成AIの成長でデータセンターの電子機器需要は増えている。電力線も10月以降に回復する」とみる。

古河電気工業は24年3月期に苦戦を強いられた光ファイバーケーブルなどの情報通信ソリューション事業が「25年3月期下期から回復基調が鮮明になる」(森平英也社長)との見立てだ。また、放熱・冷却製品など生成AI向けが好調を維持する見通し。

フジクラも生成AI需要の成長で情報通信事業が拡大し、営業利益の微増益を見込む。岡田直樹社長は「為替は1ドル=145円と想定するが、今の円安水準が続けば25年3月期も為替差益が生じる」と説明。SWCCは車載向け高速通信ケーブルの需要拡大などが業績のけん引役となる。