化学大手が電気自動車(EV)シフトなどに対応した、音に関わるソリューションの展開に力を入れている。三菱ケミカルグループは部品に貼付することでロードノイズなどの低減につながる音響メタマテリアル遮音・制振シート「レゾコア」を開発。旭化成は快適な車内空間を実現するオーディオソリューションを提案する。今後の自動運転の進展も見据え、素材から次世代の車室空間を実現する姿がうかがえる。(山岸渉)

三菱ケミカルグループのレゾコアは樹脂技術などを生かして複数の局所共振器(突起)を配置し、一定の共振周波数において突起を振動させて遮音する仕組みだ。従来の遮音材と比べて8分の1の軽さであるとともに、100ヘルツ程度の低周波音にも対応が可能だ。

需要として想定しているのが、電動駆動装置「eアクスル」周り。例えば、モーター筐体の共振周波数とモーターの回転数が一致して、音が抜けやすくなる部分の遮音に適しているとみる。独自のシミュレーション技術を生かし、ニーズにきめ細かく対応したシート設計も可能とする。自動車向けでのサンプル提供を実施しており、早ければ数年内での実用化を目指す。

三菱ケミカルグループは電動化対応についてeアクスル部材や電池部材を含め、素材力を応用したモジュールとしての提案を進める考えだ。

一方、旭化成はオーディオソリューションの提案に注力している。長年のオーディオ大規模集積回路(LSI)製品技術で培ったシステム設計やソフトウエア、チューニングの知見を生かす。

一例としてエンジン音やロードノイズを抑えつつ、より快適で臨場感のある音響空間の実現につなげる。実際にロードノイズの状況に合わせ、車室内でオーディオの音量を制御するシステムなどを開発している。

横浜市港北区に新たな半導体の技術開発拠点を開設。よりきめ細かいニーズ対応に向け、顧客に同社の技術を体験してもらう仕組みを構築していく。

旭化成エレクトロニクス(東京都千代田区)の篠宮秀行社長は「車の中でさまざまなチューニングをして新たなアイデアを考えることができる」と見据えている。

さらに自動運転技術が進化すれば、より車室空間の快適さが求められる。特に音に関わる環境はその最たる例として挙げられるとみられる。化学メーカーでも需要獲得に向けた素材やソリューション開発の動きが活発になりそうだ。


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