鉄鋼、構造改革急ピッチ…「内需縮小が想定以上の規模とスピードで進行している」

ニュースイッチ6/16(月)12:02

鉄鋼、構造改革急ピッチ…「内需縮小が想定以上の規模とスピードで進行している」

鉄鋼、構造改革急ピッチ…「内需縮小が想定以上の規模とスピードで進行している」

高付加価値・低炭素製品シフト

鉄鋼大手で国内事業の構造改革に向けた動きが加速している。JFEスチールや日本製鉄は生産体制の集約などを進める一方、低炭素化に寄与する大型電炉への投資を決めた。神戸製鋼所はシナジー創出に陰りがみられる特殊鋼子会社の日本高周波鋼業を売却する。内需縮小が進む中、生産合理化や高付加価値品へのシフトを通じて収益性を高める。(編集委員・田中明夫)

「内需縮小が想定以上の規模とスピードで進行している」―。日鉄の森高弘副会長は国内市場への警戒感をこう話す。

日本鉄鋼連盟によると2024年度の国内粗鋼生産量は前年度比4・5%減の8295万トンだった。3年連続の前年割れで、コロナ禍が直撃した20年度の8278万トンに迫る。

自動車向けは認証不正問題に伴う車両減産の収束後も回復が弱かったほか、建設分野は人手不足に伴う工期の遅れや計画見直しの影響で需要が低迷。東南アジアなどの外需は、中国の鉄鋼の過剰生産に伴う輸出増加の影響で市況が悪化した。

市場構造の変化が進む中、鉄鋼大手は生産体制の適正化を急ぐ。JFEスチールは27年度に国内の粗鋼生産能力を24年度比2割減の年間2100万トン程度に縮小するほか、他社との連携強化に乗り出した。大和工業と建材供給などの一体運営を始めたほか、淀川製鋼所とは薄板建材の相互供給や高付加価値メッキ鋼板の共同開発などの検討に着手。JFEホールディングス(HD)の寺畑雅史副社長は「自社だけの構造改革に限界がある中、幅広く(合理化策を)考えていく」とする。

日鉄は関西製鉄所大阪地区の圧延ロールなどの生産を、完全子会社化した山陽特殊製鋼(兵庫県姫路市)に28年度にかけて集約する検討を開始。大阪地区の関連設備は休止する計画だ。両社が類似の生産設備を持っていることを踏まえ「グループシナジーを追求できると判断した」(日鉄の今井正社長)。

神鋼は自動車の電動化など需要構造の変化を背景に当期赤字に陥った日本高周波鋼業を、大同特殊鋼に売却する。引き続き相乗効果が見込める日本高周波鋼業の鋳鉄事業は切り出し、神鋼傘下に残して収益向上を図る。神鋼は中期経営計画で26年度の素材系事業の投下資本利益率(ROIC)の目標を6―8%に設定しているものの、24年度は平均約4%にとどまった。勝川四志彦社長は「歩みを止めず構造改革を続ける」とし、資本効率の改善を急ぐ。

またJFEスチールと日鉄はそれぞれ、鉄スクラップから高品質鋼を生産できる大型電炉の新設に数千億円を投資することを決めた。28―29年度に稼働を予定する一方、一部高炉を休止して低炭素化を進める。神鋼は25年度中の大型電炉への投資決定を見送ったものの、30年代に迎える高炉更新期での大型電炉の導入を引き続き検討する。

ただ大型電炉の導入では多額の設備投資費や電力コストなどが重荷となるため、低炭素化の価値が適正に製品価格に反映される仕組みがカギとなる。鉄鋼業の構造改革では、官民連携で低炭素価値を可視化する市場の形成も課題となる。

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