内閣府と文部科学省は東京23区内の大学による情報系学部・学科の定員増を近く可能とする。デジタル人材の育成が目的。現在は地方創生を目的に、23区内の学部定員を2027年度まで抑制する規制がある。これを改正し、例外規定に盛り込む。地方の人材育成を後押しする施策と両輪で進めることで規制を緩和する。最短で24年度から入学定員の増加が可能になる。

内閣府と文部科学省は18年施行の「特定地域内学部収容定員の抑制等に関する命令」において、23区内の大学学部の収容定員増を28年3月末まで抑制している。地方における大学の振興と若者の修学・就業の促進が目的だ。

既に定員総数が増えないスクラップ&ビルド方式での学部・学科新設や、留学生・社会人の受け入れなど数項目の例外規定がある。今回はさらに「23区内の大学の資源で、地方のデジタル人材育成に貢献してもらう」(文科省・高等教育企画課)ことを目的に例外を設ける。

条件は①学位が理学・工学の関連分野(融合を含む)となる情報系学部・学科での定員増(学科などの新設を含む)②定員増は期間限定とし、増やした年度から7年後に元の入学定員に戻すこと―とする。

さらに③地方自治体と連携した就職促進策(地方企業でのインターンシップ=就業体験など)と地方大学と連携したデジタル人材育成強化が必要だ。23区内の大学がオンラインを活用して優れた質と量の教育プログラムを提供したり、大学院の高度な情報教育で支援したりする形を想定する。

理工系強化に向け、基金型の文科省新規事業の審査が始まっている。同事業に採択され、国公私立大が収容定員増を行う場合は設置認可の手続きが必要だ。さらに23区内の大学で実現するには①②③の施策が求められる。各大学は多くのハードルをにらみながら、再編計画の具体化に着手する。

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