魚の養殖を地域活性化につなげる産官学のプロジェクト『ながさきBLUEエコノミー』。世界に「日本の養殖魚」を流通させることを目指しています。

長崎大学は、その一環で3月から「ブリの飼育試験」を開始。試験場の内部が初めて報道陣に公開されました。

長崎港から船で約30分、長崎市高島にある「高島水産研究所」。

元は市の水産センターで、閉鎖されていた施設を長崎大学が借り受け『ながさきBLUEエコノミー』プロジェクトの一環として整備を進めました。

ここで目指すのは、ブリの “完全養殖”です。

(長崎大学海洋未来イノベーション機構 征矢野 清 教授)

「世界に売れる魚はブリが筆頭。海外に売っていくときには親を人工の環境下で飼育してそこから卵をとる、それを親まで大きく育てて売っていくことが(必要)」

世界的に人気の高いブリですが、完全養殖のものは流通しているうちの2割のみ。

海外では、環境への影響や安全性などの理由で養殖のほうが好まれることから、態勢の整備が求められています。

(長崎大学海洋未来イノベーション機構 征矢野 清 教授)

「天然のブリはどこを泳いでいるか分からないので、履歴が途絶えている魚はその段階で安全ではないという考え方。まだ80%が天然依存しているのを人工のものに変えていこう、そうしないと、海外にブリを売っていくときにはまだまだ不十分」

3月から水槽での飼育を行っているのが、ブリの稚魚2000尾です。

五島市にある国の水産技術研究所の水槽で、卵から稚魚まで育てたものを運び入れ、当初6センチだった体長は、現在15センチほどまで成長しています。

2〜3年後に「成魚」となって卵を産み、その魚を育てることで完全養殖のサイクルを作るのが目標です。

今後、海水をくみ上げる井戸を設置するなど、より安定的に飼育ができるように設備を徐々に整える予定です。

また、大学生だけでなく中高生などが水産について学べる施設を目指し、整備を進めるということです。

(長崎大学海洋未来イノベーション機構 征矢野 清 教授)

「科学をやって人をつくる場として位置付けたい。この施設を土台として、人を集めたい。高島をサイエンスアイランドにしようと考えている」

『ながさきBLUEエコノミー』には長崎大学のほか、県や民間企業など19の団体が参加していて、ブリ以外の魚でも完全養殖に向けた研究を進めたいとしていています。