先日、電力需給ひっ迫注意報が連日のように出されていましたが、それでもこれだけ暑い日が続くとクーラーを使わないわけにはいきません。でも怖いのは、値上がりするという電気料金。それなら「部屋にこもっているよりも外に出よう。でも外は部屋以上に暑いから……」なんて自分に言い訳をして、いつも以上に涼しいホールへと通う日々だったり。それで値上げした電気料金なんか軽く払えるくらい負けちゃうんですけど。

◆パチンコ業界関係者の苦い思い出

 ところで、この電力需給ひっ迫注意報、東京都庁では執務中にもかかわらずフロアの照明を消したりと節電に対するパフォーマンスを行っています。さらにそのトップである小池都知事はHTT(電力を減らす、創る、溜める)なんてお得意の言葉遊びで節電を啓蒙していますが、そういえば節電と都知事といえば、業界関係者にとっては苦い思い出があるようです。

 それは2011年3月、東日本大震災後による東京電力の原子力発電所事故を発端とした電力不足。その影響で全ての原発が運転を停止、結果的に深刻な電力不足となった。

 多くの地域で計画停電が実施されるなど混乱を招きましたが、その年の4月の選挙で4選を果たした当時の石原都知事が節電を呼びかけるなかで「あんなギンギラギンギラ明かりをつけて、音楽を鳴らして」とパチンコホールを名指しで批判。この流れに大物議員なども乗ったことで、世間を巻き込んだ大々的なパチンコバッシングへと繋がっていきます。

 もちろんホール側も計画停電が行われている地域では粛々と協力し、街頭照明を消したりなど進んで節電を行っていました。思い返せばその年の夏のホール店内は、確かにいつもより暑かった記憶があります。

◆ホールが涼しいワケ

 余談ですが夏のホール内がなんであれほど涼しいのかといえば、電子部品の塊である遊技機が熱に弱いからという説と、客の呼び出しに対応するべく動き回っている店員さん基準で温度設定をしているから説などがあります。後者だとしたら、そりゃ座ってただ画面を見つめているだけの客側は寒くなるのも当然かな。

◆石原発言によって衰退したパチンコ業界

 そしてこの石原都知事の発言を発端にして、世論も業界バッシングへの方向へと流れていきます。根底にはギャンブルに対する根強い嫌悪感もあり、いつの間にか依存症の問題にも拡大してしまうことに。

 行政はとかく世論に敏感に反応するのが常であり、特にパチンコという特殊な存在を抱えているだけに、警察は過敏なまでに対応します。まずは射幸性を煽るような広告宣伝を禁止し、いわゆるイベント的なものが表向きはなくなることに。さらに遊技機の射幸性を抑制するために規制を強化し、2018年の遊技機規則改正へもつながっていきました。

 これでパチスロは壊滅的な打撃を受け、あまりに厳しかったため最近では緩和へと向かっていますが、既に多くのホールが休廃業に追い込まれました。そしてファン人口は2011年以降は減少傾向が加速、1000万人割れが常態化しています。

◆震災直後のバッシングは今なお風化せず

 震災直後のバッシングの影響は、10年経っても風化していません。業界側は遊技機に節電機能を持たせたり積極的に照明のLED化を進めたりと、批判されるようなことに対してしっかり対策を進めています。それでも何かあると批判される業界であり、コロナ禍でも緊急事態宣言下で営業を続けたごく一部のホールの所業が全体のバッシングへと繋がってしまいました。

 だからこそ今夏の電力需給ひっ迫注意報が、再び業界への悪意ある視線に繋がってしまうのではないかと危惧しています。ただ、だからといって都庁のように営業中の店内照明を消灯したりしたら、それはそれで危険にも繫がりかねません。

 一部のホールでは震災直後のように街頭照明を消したりしていますが、今はただひっそりと耐えるだけなのかも。せめて業界も努力しているんだよと伝えておきたいですが、ついでに節電の結果節約できた電気料金分、玉を出してくれればなと。

 あ、節電しても電気料金が上がってしまうんだからトータルではあまり変わらず、やっぱりそれはあまり期待しないでおきます……。

文/キム・ラモーン

【キム・ラモーン】
ライターとして25年のキャリアを持つパチンコ大好きライター。攻略誌だけでなく、業界紙や新聞、一般誌など幅広い分野で活躍する。