11月7日にデビュー10周年を迎え、記念ライブ『i☆Ris 10th Anniversary Live〜a Live〜』も大盛況のうちに幕を閉じた5人組声優アイドルグループ「i☆Ris」。

 同日に発売となった初のベストアルバム『10th Anniversary Best Album 〜Best i☆Rist〜』には、メンバーたちがファンに向けて書いた感謝の手紙をもとに作詞された楽曲『Anniversary』が収録されている。10周年ライブでも披露されたが、彼女たちはどのような軌跡を辿り、どのような思いで10周年を迎え、手紙を書いたのだろうか――? 今だからこそ感じる現在のグループの魅力とともに、それぞれのメンバーに語ってもらった(※取材はライブの前に行いました)。

◆ファンに向けて書いた手紙をもとに作詞された新曲

――ベストアルバム収録の『Anniversary』は、メンバーのみなさんがファンに向けて書いた手紙をもとに作詞されたそうですが、どの程度反映されているのでしょうか。

茜屋:それぞれが手紙を書きましたが、それをそのまま使うのではなく、その内容やニュアンスを元に作詞をしていただいた、という感じです。だから、それぞれのメンバーが「私のパートのこの歌詞は、手紙のこの部分かな?」と感じる部分があると思います。

 AメロとBメロでそれぞれが歌うパートがあるので、それぞれの手紙が反映されてるのかな、と捉えてます。

◆大学受験で一人活動を休止していたとき……

――ライブや特典会、手紙などでファンとのコミュニケーションを続けてきたなかで、その応援が力になったと感じた場面を教えてください。

茜屋:大学受験の前に、私ひとりだけ活動を休止した時期があったんです。ようやく受験が終わってから、ライブのアンコールにサプライズで登場することになって。

 暗転したステージに立って、アンコールの曲始まりでライトが当たって、3〜4か月ぶりに客席のファンのみなさんの顔を見て……。勉強がようやく終わったんだ〜って開放感と、こんなに間が空いたのに、みんなずっと待っていてくれたんだっていう感動はいまでも覚えてます。

 そして、辛い受験勉強の合間に、もらった手紙を読んで癒やされて、励まされてましたね。

◆ファンもメンバーも大好きな一曲が投票一位に

――ベストアルバムにはこれまで出してきた楽曲が数多く収録されていますが、今回はメンバー全員に、自分にとって、そしてグループにとっての転機になった曲をお聞きします。

茜屋:このアルバムの初回生産限定盤には、オフィシャルファンクラブで行われた、人気投票の上位曲が収録されているんですけど、投票で1位だった「ありえんほどフィーバー」は、i☆Risのライブにとってすごく大切な曲です。この曲が出たときは、ライブで絶対に盛り上がる定番曲がひとつできたなって感じでしたね。

 たくさんの方が投票してくれたということで、ファンのみなさんも思い入れのある一曲だと思うんですけど、メンバーもみんな大好きな曲。納得の1位だと思います。

『プリパラ』関連の楽曲も、思い入れのある人が多いと思います。最初の放送はもう10年近く前なのか……。けっこう昔ですよね。でも、キャラクターのライブはずっと続いてるので、そんなに離れていたって感じはしないです。

◆夢だった役者の仕事が叶った頃に重ねていた楽曲も

――では、個人的な転機となった曲は?

茜屋:元々役者になりたいと思っていたんですけど、その思いが叶って、ソロの仕事ができるようになった頃、自分に重ねていた曲は『鏡のラビリンス』でした。

 個人でのお仕事をするようになって、いろいろ悩んでいたとき、この曲の歌詞がストレートに刺さりましたね。当時、「鏡のラビリンス」を歌うときにはいま以上に迫力がこもっていたかもしれないです。武道館のライブのときなんかは、その真っただ中だったと思います。

◆年を重ねるごとに捉え方も変わってきた楽曲たち

茜屋:あと、特にこれといったエピソードがあるわけじゃないんですけど、歌えば歌うほど、どんどん好きになっていったのが「キラキラGood day」です。

 当初は、「普通にいい歌だな〜」って感じだったけど、歌い続けるにつれて、切なさを感じるようになってどんどん好きになっていきました。うまく言えないんですけど、楽曲がリリースされた頃に歌ってたときと比べて、歌詞の染み入り方が変わってきたと思います。

『プリパラ』の楽曲もそうなんですが、年を重ねるごとに考えや歌詞に対する捉え方も変わっていって、改めて「いい曲だな」と感じることが多いです。

◆「声優」と「アイドル」から更にマルチな活躍へ

――最後に、10年の活動を経たいま、i☆Risはどんなグループだと思いますか?

茜屋:昔は「声優とアイドル」のグループって言ってたけど、いまはそれぞれがそれぞれの場所でマルチに活躍できるグループだと思います。

【茜屋日海夏プロフィール】
'94年、秋田県生まれ。女優として舞台や映画で芝居の仕事もこなしつつ、YouTuberとして『ひみちゃんねる』も運営。常に筋トレを欠かさない体育会系でスニーカーとスーパー戦隊シリーズが大好き。推しは「BTSとBLACKPINKです。K-POPが好きですね」

◆「手紙 書き方 始まり方」って調べました(笑)

――ファンに向けた手紙を書くに当たって、どんなことを考えたのでしょうか。

久保田:手紙を書いたことないから、ネットで調べました。「手紙 書き方 始まり方」って(笑)。でも「拝啓〇〇」とか出てくるから、そういうのじゃないと思って、みんなからもらった手紙を読み返したんです。

 そしたら、「みゆちゃ〜ん」って呼びかけで始まったり、「〇〇のライブお疲れさまでした」って挨拶から始まったり、本当に人それぞれぜんぜん違う。だから形式は気にせずみんなと同じように、思ったことをそのまま伝えようって感じで書き始めました。

 読み返してみると、私のキャラに合わせた犬モチーフの便箋にしたり、ポケモンのシールを貼ってくれてたりして、みんな私のことを考えてくれてるんだな〜って改めて感じましたね。

 でも、いざ書き始めたらどんどん書きたいことが浮かんできて。ああ、あれもこれも書きたいってなるけど、文字数に制限があったから、本当にたいへん。

 しかも、人に見せるわけだからきれいに書きたい、いいことを書かなきゃっていろいろ考えちゃって時間がかかりました。マネージャーさんから「早く手紙ください〜い」って珍しい催促をされちゃいましたね(笑)。普通、あんまり言われないことですよね。手紙くださいって。

◆初めてのファンレター「誰かが見てくれているって思えた」

――10年間積み重ねてきたファンとのコミュニケーションのなかで、特に印象に残っていることは?

久保田:すごく覚えてるのは、初めてファンレターをもらったとき。合宿を終えて、初めて人前に出たのが名古屋の公園広場のイベントだったんですけど、そのすぐあとに手紙をもらったんです。

 手紙の文字ががたがたで、タイミングを考えると、たぶんその場で便箋を買って、公園の石畳の上で書いたんじゃないかなって感じ(笑)。「すごく良かったと伝えたかった」って書いてあって、なんだかすごい仕事を始めちゃったんだなって思いました。

 芸能の仕事を目指していたわけではなくて、アニメは大好きだったけど、アニメのキャラに手紙を書くなんて考えたこともなかったから。

 とりあえず、経験も全く無いのになんとかやってるだけで、こんなにへたっぴなのに、そんなふうに思ってくれるなんて。どんなときでも誰かが自分のことを見てくれてるんだって感じました。

 最近はありがたいことにソロパートをもらえているけれど、デビュー当時は本当に少なかったので。それこそ、照明あたってるかな……? って場所で歌って踊ることも多かったです(笑)。それでも見てくれる人はいるんだろうって思えたのは、あの手紙があったからかもしれません。ステージのどこに立っても、楽しむことはできると思って続けてきました。

◆「久保田さんにやってほしい」と言われた初めての楽曲

――自身の転機になったと感じる曲はありますか?

久保田:個人としての転機は「幻想曲WONDERLAND」です。歌は苦手だから、歌うのはサビだけでソロのパートはない曲も多かったんですけど、この曲では「セリフをお願いします。ここは久保田さんにやってほしいです」って言ってもらえて。

 うれしかったけど、不安のほうが大きかったというか、不安しかなかった。ひとりで歌うパートもあって「ふええ〜大丈夫かな〜……」みたいな。

 でも、「久保田さんにやってほしい」って言われたのが初めてだったから、自分の中での転機になりました。

――スポットライトはあたっているのか……という場所にいるのは複雑だったけど、ライトがあたれば、それはそれで不安だと。

久保田:そうなんです(笑)。ライブごとにセリフを変える遊びを始めてみたら、毎回変えなきゃいけない感じになって、今日はどうしようってプレッシャーも。いまではそれも楽しめるようになったけど、レコーディングするときは特に緊張してた曲です。

 この曲をやるたびに、思い出しますね。その当時の気持ち。初披露したときにファンのみんながすごく喜んでくれたっていうのも覚えてます。

◆「新規のファンの方はコールにびっくりしそう(笑)」

――続いて、グループにとっての転機とは。

久保田:5thシングル『徒太陽』のカップリング、「Happy New World☆」です。この時期は対バンイベントなどでアイドルさんと一緒になることが多かったんですけど、アイドル現場に合う楽曲がなかったんですよ。

 当時はももクロ(ももいろクローバーZ)、でんぱ(組.inc)みたいなわちゃわちゃ楽しい曲か、AKB48のアップテンポでさわやかなアイドル曲が流行ってて。i☆Risの楽曲もすごくいいんですけど、アニメの主題歌が多かったから、作品の世界観があるので、アイドル現場では少し世界観が違ったのかな。

 そんなときにこの曲が来て、マジでありがとう! って感じ。あの時代のi☆Risちゃんの楽曲のなかでは、明るく楽しく、レスを送りやすいアイドル現場にうってつけの曲でした。

――そろそろ声出しライブが復活しつつあります。客席からの声援が楽しみですね。

久保田:たしかに。でも、コロナ禍で好きになってくれた人たちは、いわゆるコールが解禁されたらびっくりしちゃうんじゃないかな(笑)。i☆Risのライブ、結構すごいんですよ。

◆ちょっと変なグループだけど、それが魅力

――最後に、いまのi☆Risの魅力はどんなところにあると思いますか?

久保田:いろいろな作品のライブに出させてもらったことで改めて思ったんです。うちのグループちょっと変だなって。だってMC中に座りだしたり、人の話聞いてなかったり、ごはんを食べだしたり……。変ですよね(笑)。

 曲は真剣にやってるけど、MCになった瞬間から急に各々が別の行動をする感じ。いいギャップだし、これはi☆Risでしか出せない味だろうなって思います。

【久保田未夢プロフィール】
’95年、埼玉県生まれ。工業高校出身でアーク溶接の免許を持つ。12月17日に久保田がレギュラーMCを務める「ラジオアニメージュ」によるイベント「ラジオアニメージュのイベント8 〜ボタクとクボタと招かれし姫君〜」の開催が決定。推しは「『ゴールデンカムイ』です。「ゴールデンカムイ展」、東京でも3回行ったのに、福岡から新しいグッズが出たので、行って爆買しました」

◆モスバーガーでガン泣きしながら書いた手紙

――手紙を書く際に考えたことを教えてください。

芹澤:私は普段から頭で考えるより、感情のままで行きたい派なんです。ライブのMCでも事前に決めないでその場の感情で伝えたいと思っていて。

 だから手紙を書くときも、ちゃんと気持ちを高めたいんですけど、普段の生活だとライブ中と比べたら思いが高まってないじゃないですか。だから、「Thank you forever!」って曲を聴き込んで、手紙を書くことにしました。

 締め切りのタイミングで仕事が詰まってたので、仕事の合間、初めて行った駅のモスバーガーで手紙を書いて。でも10年分の思いを書くのに「次の現場までどうしよっかな〜」ってノリで書けないから、「Thank you forever!」を聞いてガン泣きしながら書きました(笑)。モスバーガーでひとり、様子のおかしい感じだったと思います。

◆大きな悩みを打ち明けてくれることがうれしい

――逆にファンからもらった手紙のなかで、印象に残っているものはありますか?

芹澤:本当にたくさんのなかで特に印象に残っているのは、ある女の子からの手紙。特典会では明るく話してくれてた子が、手紙で信じられないような辛いことを書いてくれて。

 その子と話せる時間はほんの短い時間だから、すごくもどかしい気持ちでいっぱいでした。もっと1対1で、「がんばれ、大丈夫だよ」って伝えてあげたいのに、できない。

 でも私のことを、誰にも言えない悩みを打ち明けられる存在だと思ってくれることがすごくうれしいので、その気持ちをライブや特典会でなんとか届けたいと思って、活動を続けてきました。

 重い悩みをファンレターで打ち明けてくれる人、たくさんいらっしゃるんです。手紙をくれるのは本当にうれしいから、これまでもらったの、全部保管してます。水色の封筒が多いので、いつか全部並べて床に敷き詰めて、そこに埋もれて写真を撮ってみたいって思ってます(笑)。

◆「会場全体がうわ〜って盛り上がったのを肌で感じた」

――i☆Risにとって転機となったのどの楽曲だと思いますか?

芹澤:やっぱり「ドリームパレード」じゃないかな。『プリパラ』2ndシーズンのオープニング曲。信じられないくらいたくさんの人が1stシーズンを見てくれて、そのあとの最初のオープニングだから、作品の影響力をすごく感じましたね。

 フェスでこの曲を歌うとすっごく盛り上がったんですよ。本当にびっくりしました。信じられないって感じ。作品を見てくれてる人は楽しんでくれるだろうとは思ってたけど、フェスの会場全体がうわ〜ってテンションが上がったのを肌で感じて。

 正直、それまでのi☆Risってフェスに合う楽曲を持っていないグループだったから(笑)。いまなら「アルティメット☆MAGIC」とかもあるけど、自分たちのファン以外も盛り上げられる初めての曲が、「ドリームパレード」だった気がします。

――『プリパラ』のテーマ曲は物語に連動している歌詞がアツいので、リアルタイムで見ていた人たちはさらに盛り上がったでしょうね。初めてi☆Risのメンバー全員が一緒に歌った劇中歌の「Realize!」が、のちにオープニング曲になる流れなども含めて。

芹澤:そうですね。「Realize!」は最初、劇中で流れたんですよね。たしかクリスマスライブで……。

――みんながプリパラを禁止されるも、2つのチームに分かれていたメンバーが初めて団結して『Realize!』を歌うという流れでした。

芹澤:懐かしいですね〜(笑)。自分が見てもおもしろいと思ったし、たくさんの人を夢中にさせた作品なんだってあらためて感じます。

◆「自分が目立つことよりもファンのみなさんの思いが嬉しい」

――続いて、ご自身にとって転機となった曲を教えてください。

芹澤:「§Rainbow(セクション・レインボー)」ですね。『プリパラ』が放送される前の『プリティーシリーズ』の作品、『プリティーリズム・レインボーライブ』のエンディングテーマです。

 私はこの作品に声優として出演していたので、今思うと「私がセンターでしょ?」ってイヤなヤツだなって感じのテンションでした(笑)。

 でもライブで披露するうちに、いつからかBメロで私の名前を叫ぶコールを入れてくれるようになったんです。怖いくらいに「ゆうちゃん!」って繰り返して叫んでくれる。この曲だけは、他のメンバーを推している人も、みんな私のイメージカラーの青いサイリウムを振ってくれる。

 それが浸透してきたころから、自分にとってすごく大切な曲になっていきました。自分が目立つのがうれしいというよりは、ファンのみなさんがこの曲に込めてくれる思いがうれしい。そんなふうに少し考え方が変わっていくきっかけになりました。

 そういえば、コロナ禍以降にライブを見てくれるようになった人たちは、コールを聞いたことがないですよね? お祭りみたいに声を出して気持ちを上げていこうって人が多いから、活気がすごいんです。またあのコール、聞きたいなあ。静かに聞きたい人はびっくりするだろうけど(笑)。

◆酸いも甘いも一緒に乗り越えてきた、友情とは一味違う一体感

――10年経ったいま、改めて感じるi☆Risの魅力とは?

芹澤:それぞれが自分の特技を活かして活動をしつつ、定期的にグループとして集まる。それって作品をベースに集まる声優のユニットだと意外と難しいと思うんです。

 でもi☆Risは、過酷な合宿から始まって、酸いも甘いも…じゃないですけど、いろいろなことを乗り越えてきた、友情とは一味違う一体感がある。

 いつもはどんなにバラバラでも、ライブ中はメンバーのことがいちばん大好きです(笑)。

 ただ仲良しなわけじゃなくて、10年間やってきたからこそ、その過ごしてきた時間の濃さがステージに出るはず。10年一緒にやってきたからこそ、揺るがないものがある。これは自信を持って言えることだと思います。

【芹澤 優プロフィール】
’94年、東京都生まれ。ソロアーティストとしてのファーストフルアルバム『YOUr No.1』が発売中。3度目のソロツアー「Yu Serizawa 3rd Live Tour 2022 YOUr No.1」の千秋楽を12月24日にZepp Divercity TOKYOで予定している。推しは「自分の理想のアイドル像をやり続けたい、私が推すアイドルは私でありたい、と思っているので、i☆Risに入ってから、ずっと芹澤優推しです」

◆心が折れそうになったとき家族以上に支えてくれたファン

――ファンのみなさんに手紙を書く際、思い出したことはありますか?

山北:正直、ファンと触れ合うことが多いグループだったからこそ、具体的にどこかのシーンを思い出すというより、本当にいつもそばにいてくれたな、って感じです。家族じゃないけど、家族以上にいつも支えてくれた。そんなことを思い出しながら、書きました。

 i☆Risの歴史を振り返ると、前半は特に悩むことが多かったので、そういうときにふと、ファンレターを読んで、自信を回復してました。だいたいみんな、すごく褒めてくれるんですよ。「この間のイベント、ここがよかったよ〜」「こんなところが好きだよ」って。

 心が折れそうになったときは、そんな手紙を読んで、「よしがんばろう!」って気持ちを切り替えてました。SNSでコメントをもらうのもうれしいけど、やっぱり直筆の手紙って重みが違う。それぞれみんなキャラがぜんぜん違うからすごく面白いですし。

◆5人体制になることを私がいちばん焦ってたけど……

――10年間で100以上の楽曲があるなかで、グループにとって転機となった曲はどれだと思いますか?

山北:最近だけど、5人体制になって初のシングル「Summer Dude」かな。ずっちゃん(澁谷梓希)が卒業するって決まって、実際に5人体制になる直前まで、落ち込んでたので。メンバーのなかで私がいちばん焦ってたと思う。

 昔からインタビューでも散々「i☆Risはこの6人以外ありえない」「ひとりでも辞めたら、グループが終わるんじゃないですか?」って言ってきたから、やばいやんと思って。8年目で、コロナ禍という逆風のなか、ひとり辞めるとなると、みんなのモチベーションは大丈夫かな…?っ て余計な心配をしちゃってました。

 でも、メンバーもスタッフさんたちもポジティブで、「これを機に、いままで出せなかった部分を出していこう」って方向性になって、できたのが「Summer Dude」。

 これまではアニソンだから元気な雰囲気の曲、作品の世界観に合わせた曲が多かったところを、「Summer Dude」はいまの自分たちに合わせた曲だから、等身大の私たちとして自然に歌えたんです。

◆「落ち込んでた頃の自分に『楽しんでるよ』って教えたい」

――個人としての転機はいかがでしょうか?

山北:これも最近になっちゃうんですけど、「12月のSnowry」。悲しい失恋の曲を表題曲として歌っていいんだ、と新鮮な気持ちでした。

 普段はハモリパートが多いけど、この曲では最後の印象的なパート、〈恋がしたいな〉ってところが私の担当になったので、いままで以上に気持ちがすごく入るんです。

 あと、歌ってるときの私の声質が大人っぽい感じらしくて、最近はそれがマッチする曲が増えてる気がします。「Summer Dude」、「12月のSnowry」、「Queens Bluff」も。5人になってからは、今の自分に合った歌をうたえてるようになった気がする。

 全体的にすごくいい感じなので、落ち込んでてた頃の自分に「楽しんでやれてるよ〜」って教えてあげたいです。

◆みんなピュアな野心を持っているグループ

――グループの人数も形も変わってきたなかで、「いまのi☆Risはどんなグループ?」と聞かれた場合、どう答えますか?

山北:以前とは別物だと思いますね。

 みんながアラサーのグループで、ここまでガチで歌って踊ってる人たちってあんまりいないと思うんです。そして、見た目も楽曲の雰囲気もいい年頃の大人になってきたけど、なんだかんだ初心は忘れてない。

 みんなずっと変わらないのは、負けず嫌いなところ。中途半端に終わりたくない、まだ売れたいってみんな思ってるはず。年齢を重ねて雰囲気は変わったけど、意外とみんなピュアな野心を持ってる気がする。

 その意味では、大人っぽいグループかなと思ってライブを見に来てくれたら、わちゃわちゃ楽しい感じじゃんって、いい意味のギャップが身についてきたグループなんじゃないかって思います。

【山北早紀プロフィール】
‘91年、北海道生まれ。リーダー。美容オタクで化粧品検定1級を持つ。12月7日〜11日には、草月ホールにて行われる舞台「SOLID STAR Produce vol.18『熱血硬派くにおくん外伝〜リバーシティガールズ〜』」に山北早紀が出演予定。推しは「カービィです!」

◆感謝の気持ちだけじゃ逆に薄っぺらい気がした

――手紙を書くときに、意識したことはありますか?

若井:いつも応援してくれて本当に感謝してる……って気持ちでいっぱいだけど、きれいごとだけ書くのは違うかなと思って。それだけ書くと逆に薄っぺらい気がしたんです。

 自分では正解だと思ってやったことに対して「もっとこうしたほうがいいと思う」って言ってくる人たちもいました。実際にいま振り返ればそのとおりだと思うことはたくさんあるけど、当時はすんなり受け止めることはできなかった。

 すれ違ってたな…って思うことはたくさんあります。私たちもファンのみんなも、正直、きれいなものだけで埋め尽くされた10年じゃなかったはずだから、「こんなことが嫌だった」って怒ってるわけじゃなくて、「こんなこともあったよね(笑)」って感じで、飾らないままで書こうと思ったんです。

 それが2番Aメロの〈すれ違ったこと〉って言葉にぎゅっと凝縮されてると思います。

◆丁寧な手紙も急いで書いた手紙もすべてが嬉しい

――ファンとのコミュニケーションのなかで印象に残っていることは?

若井:部屋の整理をしたときやイベントの帰り、ふとした瞬間に、もらったお手紙を家で読んでいつも感動してます。直筆だと温かみがこもってる感じがあるし、みんなが見てるSNSとは違って、私にしか見られないからこそ、本当に言いたいことを書いてくれてるから。

「いかに若井友希に救われてるか」みたいなことを書いてくれる人もいて、自分って人に元気を与えることができるんだって、本当に感動します。

 特典会でも、直接思いを伝えてくれる人もいてすごくありがたいです。手紙と特典会は、いつも本当に心がじわ〜って暖かくなりますね。

 そもそも、わざわざ便箋とペンを買って、手紙を書いて出そうと思ってくれること自体、相当好きでいてくれてる証拠じゃないですか(笑)。下書きして清書してくれてるのも、間違って傍線で消してるのも、急いで書いたんだろうなってわかる感じも、すべてが嬉しいです。

◆うまくいかない時期もずっと見守ってくれてる

――最近はソロの活動も順調で、一緒に喜んでくれる人も多いと思います。

若井:本当にありがたいですね。10年もやってるのに、当時からずっと応援してくれてる人もいて。うまくいかない時期も知ってくれてるから、そういう人たちが喜んでくれるのは特にうれしいかも。なんなら親よりもずっと見守ってくれてると思う(笑)。

 10年も経てば生活環境も変わって、好きな音楽のジャンルも変わるはずなのに、ブレずに応援してくれてるのって本当にありがたいけど、本当に不思議。それだけ一途に応援できるって、人を愛する才能がある人たちなんじゃないかなって思います。

◆「うわ、i☆Risが売れた……!」と感じた瞬間

――続いて、グループにとって転機になったと感じる曲はありますか?

若井:i☆Risにとっての転機は「Make it!」一択じゃないかな。もう、転機でしかない。

 この曲のリリース前後に出たフェスでミルキィホームズさんたちと同じステージに立ったとき、すごい盛り上がったんですよ。「うわ、i☆Risが売れた……!」って感じた瞬間でした。え、みんな違う曲を挙げてるんですか? すごく王道な答えを言ったつもりだけど、みんな違うんだ。おもしろいですね。

◆個性をどんどん見せられるようになったきっかけの曲

――ではご自身にとって転機となった曲は?

若井:自分にとっての転機は「幻想曲WONDERLAND」です。この曲が、私の個性を見出してくれたといっても過言じゃないと思ってます。

 当時はみんなで1日中レコーディングしてたんですけど、他の子が歌ってるときに私がソファで座ってたら、作曲を担当された永井ルイさんから急に「フェイクをやってくれない?」って呼ばれて。

 曲の最後の部分のフェイク、その場で呼ばれて、その場で急に録音したんですよ。ここを任せてもらえたことが、私の強みである歌、個性をどんどん見せられるようになっていくきっかけになったと思います。

 たしかそのときは、スタジオに私とみゆたん(久保田未夢)しかいなかったと思うんです。残ってたから呼ばれたのかもしれないし、いろいろな偶然が重なって。

◆ずっと憧れてきた人との合同ライブ

若井:今年は初めてソロツアーもできて、12月にはずっと憧れてきた元AAAの伊藤千晃さんとのジョイントライブをすることも決まってます。これも、歌を頑張り続けてきたからこそで、もとを辿れば「幻想曲WONDERLAND」のフェイクがきっかなのかもしれない……と、いま思いました。

 ずっと憧れてたから、好きだってバレたら二度と会ってもらえないかと思って、ずっと隠してたんですよ(笑)。昔、同じスタジオでレコーディングしてたことがあったんですけど、気が気じゃなかったのを覚えてます。当時挨拶してたらただのファン扱いされて引かれてただろうから、我慢してよかったです(笑)。

――最後に、いまのi☆Risはどんなグループだと思いますか?

 10年やってきて、みんな垢抜けましたよね。みんないまがいちばんかわいい! なので、いまのi☆Risは、かわいい声優アイドルグループだと思います。

【若井友希プロフィール】
’95年、岐阜県生まれ。特技はピアノ弾き語りと作詞作曲。12月14〜25日に横浜赤レンガ倉庫にて開催される「冬の音楽の祭典 エアトリpresents 毎日がクリスマス2022」の17日昼公演にて、伊藤千晃と友希のジョイントライブが決定。推しはもちろん「伊藤千晃さんです!」

【i☆Risプロフィール】
‘12年7月、エイベックスと声優事務所81プロデュースがタッグを組んで開催した「アニソン・ヴォーカルオーディション」の合格者6名で結成。同年の11月にデビュー。’14年からテレビアニメ『プリパラ』でメンバー全員が声優としてメインキャラクターを演じ、主題歌も担当する。結成4年目の2016年、日本武道館でライブを成功させた。’21年3月にメンバーの澁谷梓希が卒業し、4月からは5人での活動を開始。デビュー10周年記念日である11月7日に、i☆Ris初のベストアルバム『10th Anniversary Best Album 〜Best i☆Rist〜』を発売

<取材・文/森ユースケ 撮影/尾藤能暢>