◆76万円相当の出玉が没収された事件
2022年8月27日、76万円相当の貯玉没収と系列店すべての出入り禁止を喰らってしまった。そんなことをTwitterでつぶやいたところプチ炎上してしまい、ヒロシヤングさん(パチンコ界の大御所)がMCをつとめるワイドショー風の番組に、望まぬ形でゲスト出演することになった。この動画の再生数が、なんと50万回を超えたのだとか……。
パチプロにとって出禁とは、社会人にとってのクビや左遷を意味するもの。だから恥ずかしい動画に思えたのだが、客観的に見ると時代の変化とパチンコ業界の生々しさを感じられるらしい。
◆白シャツ男性2人に囲まれる
出入り禁止となってしまったのは、東京都の大型店舗。大海4SPの大当り消化中に店長クラスと思しき2人の白シャツ男性に囲まれ、やや威圧的な声色で「遊技終了でーす」と告げられた。
ハウスルールで攻略打ちが禁止されているのは知っていたし、他のプロからも「あそこは打ち方に厳しいよ」と聞かされていたから、素直にハンドルから手を離すしかなかった。そして、「次やったら出入り禁止となりますので」とマニュアル通りに念を押され、これに「わかりました」と応えた。
大当りの放棄、出玉の没収、それと出禁の次回予告、これで済むのが定例。しかし、インカムによる店員さん会話が妙に長く続いた。監視カメラの映像でもチェックしているのだろうか……。
◆なぜかレッドカードに昇格
過失があるとすれば「大当り中の捻り打ち」だと思ったのだが、他にも理由があるのかもしれない。朝イチからパチスロを5時間ほど打って4000円を溶かしたのは店側的に好印象だったはずなので、これは違う。
次に1000円だけ試した新海物語は、通常時から右に打った(一般的なストロークは左打ちとされている)。これは「特殊打ち」に該当する可能性があるから、目をつけられる原因になったかもしれない。問題の大海4SPは、600回転ほどハマっていたところから打ち始めて2000円で当たったから、「ハイエナ行為」に該当した可能性がある。いつも通りの打ち方ではあるが、規約に引っかかるポイントは3点。
インカムの会話から察するに、「ハマリ台を選んで特殊打ちをしたからプロとみなした」といった理由のようだ。また、貯玉カード(移動履歴や精算履歴が残る)を利用したのも汚点だったかもしれない。店側からすれば「貯玉をしているプロを出禁にすれば、一石二鳥」となるし、そもそも、この系列店は貯玉を飛すことで有名な店舗だ。
ウワサ通りというか、なんというか……。さらに口調が高圧的になり、「当店、ならびに系列店への出入りを禁止します」と、注意から出禁への昇格を果たした。
◆財布の中から系列店の会員カードを没収
どれだけ頭を下げても、「二度といたしませんので、お許しください」と詫びようとも、プロとみなした人間の言葉など、ひとつも聞く耳を持たず、マニュアル通りに無視を貫く店員さんたち。覚悟はしていたが、顔写真の撮影、免許証のコピー、財布に入っていた系列店の貯玉カードをすべて没収、この出禁のフルコースに攻略打ちがどれだけリスキーなのかを改めて思い知らされた。
さらに、「系列店であっても入店されると警察が来ます。もちろん貯玉の精算もできませんのでご注意ください」と住居侵入罪までチラつかされ、護衛車に乗せられるかのように取り囲まれたまま「出口はアチラです」と、迂回など許さぬ鉄壁の陣形で追い出されてしまった。とにかく、怖かった。
◆店を出た直後に2人の警察官が歩み寄ってきた
17年ほど通ったマイホームのような場所を失い、明日からどこへ行けば良いのかすら思い浮かばず、「人生オワッタ……」と、その場にうずくまった。すると、また新たな2人組がこちらへと歩み寄り、声をかけてくる。パチンコ店が呼ばずとも、このタイミングで「職務質問です」と。さすがに、笑ってしまった。
警察官にこれまでのことを相談しようかとも思ったが、ずいぶんと世話になった店だし、ことを荒立てればストレスで精神崩壊してしまいそうだから、そちらに舵は切りたくない。スカスカになった財布から再び免許証を取り出して「パチンコのライターです」と伝えたところ、この街のパチンコ店の状況について少しばかり盛り上がったが、それ以上に話を膨らませようとは思わなかった。
◆出禁時に使用した技術と反省点
大海4SPで出禁になった打法は難解なものではなく、「10カウントで閉じるアタッカーに、むりやり11個目の玉を入賞させる」といったC難易度くらいの技だ。具体的には、天井付近を狙って玉をダボつかせておき、そのままタイミングよく「グイッ」とハンドルを手前に絞ってアタッカーへと玉を流し込む。これで発表値よりも多くの出玉を得られるため、有利な勝負ができる。
また、低確率状態を950ゲーム消化すると発動する遊タイム(時短350回転の恩恵により、玉を減らさずに遊技できる)を絡めれば、さらに優位性が増す。かなり簡素な技術介入なので、隠すようなものじゃない。本当に隠さなければならなかったのは、V直撃打法など大当り確率の変わる攻略法だ。実は過去にも、出禁を喰らったことがある。
他の事例は後編として、また次回に紹介しよう。
文/ミネッチ
【ミネッチ】
技術と釘読みで凌ぐパチプロ生活が20年。その稼働内容を、雑誌(パチンコオリジナル実戦術、必勝ガイドMAXなど)に寄稿し始めて10年が経つ。YouTubeの密着シリーズ(パチダンTV)は特に人気があり、60万回再生を超えた。