学生時代の旧友たちと久々に会えるのは嬉しいが、“近況報告”という名のマウント合戦が繰り広げられることも多い同窓会。実際、それが嫌で参加をためらう人もいるはずだ。
 大手機械メーカーの研究部門に在籍する石田征紀さん(仮名・38歳)の出身大学は私大理系の名門・芝浦工業大学。経歴だけ見るとエリートのように思えるが、8年前に初めて参加した中学校の同窓会でTさんという同級生からマウンティングされたとか。

◆中退後、大学に進学したことを同級生は知らない

「中学時代からいけ好かない奴で距離を置いて付き合ってましたけど、このときのTも完全に上から目線。挨拶を交わした後に飛び出した言葉が『お前、高校すぐに中退したと聞いて心配してたんだぞ』ですからね。それもニヤニヤしながら尋ねてきたから悪意しか感じませんでした(苦笑)」

 実は、石田さんは地元の公立高校に進んだが当時は人付き合いが得意ではなかった。クラスメイトからの過剰な“いじり”もあって学校を休みがちになり、1年の2学期には出席日数が足りなくなって中退。それでも大学には進学したかったため、高等学校卒業程度認定試験(高認)と悩んだ末に通信制高校への再入学を選んだという。

「最初の高校には同じ中学から10人前後入りましたが、特に親しい者はいなかったので辞めた後はそれっきり。通信に入ってからは受験勉強に専念してたから引きこもり同然の生活でしたし、大学合格後は上京してしまったので。中学時代の連中とは本当に仲の良かった2人の親友としか連絡を取っておらず、彼らも交友関係が狭かったので同級生の間で自分の情報は高校中退のままで止まっていたんだと思います。まあ、ああやって馬鹿にした感じで言われるとは思いませんでしたけど」

◆名刺を渡して立場が逆転

 こちらが聞いてもいないのにTさんは結婚して戸建てのマイホームを持っていること、課長級のマネージャーの地位に就いている、会社で大きな仕事を任されている等を延々と自慢。そんな彼から何の仕事をしているのか聞かれたが、石田さんは「ただのしがない会社員だよ」とだけ答え、詳しいことを一切話さなかった。

 すると、アルコールが回ってますます“舌好調”になったのかTさんは「お前は中卒だから大変だろう」、「なんなら俺の会社に口を利いてやってもいんだぞ」など嫌味を連発。さすがにこれにはカチンと来たそうで会社の名刺をTさんに渡す。受け取った瞬間、「えっ?」と声を発したままその場で固まってしまったそうだ。

「けど、信じたくなかったのかTからは『なんでお前がこんな大手に勤めてるんだよ!』とこの期に及んでも責められました。だから、中退後に通信高校を経て大学に進んだことを簡単に説明しました。彼は『頑張ったんだな』と一応褒めてくれましたが、それとは裏腹に表情はすごく悔しそうでした」

 なお、Tさんはこれ以上絡んでくることはなく、その日は再び話しかけてくることはなかった。一緒に同窓会に参加した2人の親友には「マウント返しするなよ。腹黒い奴だな」と大笑いされたが、石田さんも含めて全員スカッとしたのは言うまでもない。

◆スカッとしたけど、マウントされた側からすると…

「私たちは『陰キャグループ』だったので、中学のクラスカースト上位だったTにしてみれば、ハナクソみたいな存在だったんです。それが積年の恨みを果たしてやり返したんだからやっぱり気持ちいいですよ」

 この後、他の同級生から聞いたそうだが、Tさんは県内有数の進学校から地元国立大に入学。ところが、理由は不明だが中退してしまったとのこと。さらに仕事は転職を繰り返し、同窓会の時は叔父が経営する会社に勤めていたという。

「それでも30歳でマイホームを建てたのは立派。会社でも親族経営とはいえ社員数は50名を超えていたようなので、その中で管理職は優遇されていたとしてもスゴいと思います。とはいえ、そういうのって人とあまり比べないほうがいいと思うんです。学歴や仕事、お金もそうですがマウントされて自分が下だと格付けされた場合、やっぱり傷つきますから。Tにやり返した私が言ったところで説得力はないかもしれませんが(笑)」

 意識しなくても同窓会など久々に会った相手には、ついマウントと受け取られる言動をしてしまうことも珍しくない。気づいたら加害者になっていたなんてことも起こりうるため、相手に不快な気分を与えてしまわないように注意したいものだ。

<TEXT/トシタカマサ>

―[学歴マウント]―



【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。