2022年の登場を機にパチスロの人気回復に大貢献したスマスロに対し、機種数が少ないうえに今一つヒットに恵まれないスマパチ。同じスマート化で明暗を分ける結果となったが、昨年末に大人気シリーズ『エヴァンゲリオン』のスマパチが登場した。しかし、同時リリースとなったP機の方が圧倒的に稼働率が高い現状が続いている。
 このエヴァシリーズの登場により、パチンコホール界に影響はあったのだろうか。そこで今回は、関東地方で十数店舗展開する大手チェーンの営業統括部長のA氏に、エヴァシリーズの話を中心に、パチンコの現状と今後について伺ってみた。

◆「Typeカヲル」の方が稼働が伸びない理由

コピーライト 前作の「未来への咆哮」が3年前に登場したにも関わらず、未だにホールのメイン機種となっているエヴァンゲリオンシリーズ。その第16弾である「シン・エヴァンゲリオンTypeレイ」と同時に、シリーズ初のスマパチ「Typeカヲル」がホールデビューした。

「新しいエヴァはグループ全体で160台ほど導入しました。割合は8割が『レイ』でスマパチの『カヲル』は2割ですね。ちなみに、前作の『未来への咆哮』は一台も減台していないので、設置台数でいうと前作が一番多く、次に『レイ』、『カヲル』の順になります。稼働率は『レイ』が一番で次が前作、スマパチの『カヲル』は一番悪いです」

 スマパチの『カヲル』は他の2機種と比べ大当り確率が悪い分、確変突入率と出玉面の性能が良くなっている。一撃の出玉力を考えたら高稼働が期待できそうではあるが……。

「『カヲル』の稼働が悪いのは、ぶっちゃけ甘く扱っていないから(笑)。他のお店も同じだと思いますが、基本的に台数の多い機種を甘くするので。もっと予算があれば『カヲル』の方まで手を回せますが、最近は機械代も高いし、現状そこまでの余裕はないんですよね」

◆スマパチならではの魅力が感じられない

 お店の扱いが悪ければ、稼働が落ちるのは至極当然の話。だが、人気が出ない要因はそれだけではなく、「スマパチならではの面白さがない」のが問題だとA氏は語る。

「お店の扱いが悪いというのもありますが、機械自体が面白ければ多少扱いが悪くても稼働するんですよ。それで、稼働が上がればお店は甘く使える。甘く使えばさらに稼働が上がるという好循環に突入するのですが、スペック的に既存の機種と大して変わらないから面白くないですよね。エヴァの『Typeカヲル』もスマパチになったからといって、スペックは『Typeレイ』や前作とほぼ同じだし……」

◆スマパチを普及させるためには出玉性能の強化が必須!?

 スマパチがホールデビューしてまもなく一年。『ソートアート・オンライン』や『リゼロ』など人気が出た機種もあるが、立て続けにヒット機種が出ているスマスロと比較すると、やはりその勢いは弱い。その違いはどこにあるのだろうか?

「スマスロは、それ以前の機種の出玉性能と比較すると大幅にパワーアップしてますよね。万枚も夢じゃなくなったし。パチンコでいうとCR機が普及した時も、他の機種と比べると抜群にスペックが良くなって面白かった。スマパチにはCタイムがありますが、飛躍的に出玉性能がアップしたわけでもないし、ものすごく中途半端感がありますよね」

 さらにA氏によると「メーカーもスマパチに対してあまり積極的ではない」という。たしかに、今ホールに設置されている機種数をスマスロと比較すると、スマパチは圧倒的に少ない。

「現時点で、メーカーがスマパチに力を入れているとは思えないですよね。大手でも未だに一台も出していないメーカーもあるし。しかも、今出てるスマパチの大半がP機の兄弟機じゃないですか。ゲーム性とかスペックが大して変わらないなら、そりゃP機でいいやってなりますよ、大当り確率もスマパチよりは高いし」

◆出玉強化の新機能は期待できるのか?

 既存のP機と代り映えしないスマパチ。では、昨年6月の内規改正で新たに搭載可能となり、出玉性能のパワーアップが見込める「ラッキートリガー機能」はどうだろうか? 3月にホールデビューすることが決まっているだけに、ファンとしては気になるところだろう。

「私は正直、期待はしていません。少なくともホールのメインにはならないですよね。エヴァやリゼロをハズしてまで導入する機種じゃないから台数も大して入らない。そうなると、さっきも言いましたが甘く使うお店が少ないから、話題性で稼働が付いたとしても最初だけじゃないですか」

 最初から大量導入する機種ではないとしても、これまでになかった機能を搭載しているなら、その魅力をしっかりとファンに伝えるべく導入時に赤字覚悟で普段の新台よりも甘く使えば人気回復に繋がりそうだが……。

「パチスロはちゃんと出玉を出すとその後の稼働率に反映されるのですが、パチンコは甘くすると見た目で分かるから、一部の打ち子軍団に占拠されておしまいです(笑)。だから、おいそれと甘く使うのも難しいんですよね」

◆さらにホールを苦しめる新たな試練

パチンコ台に1万円を入れる様子 スマパチがヒットせず、ラッキートリガーも期待できないとなると、まだしばらくは暗いトンネルから抜けられそうにないパチンコ。さらに追い打ちをかける出来事が待っていると、ため息交じりにA氏は言う。

「今パチンコ店が潰れまくっていますよね。しかも今度、新紙幣が出て台間サンドや両替機でまたお金がかかるでしょ。だから、もっと閉店するお店が増えると思いますよ。あと1000店、下手すりゃ2000店潰れて、数年で5000店舗くらいになっちゃうんじゃないですかね。パチンコの冬の時代はまだ続くでしょう」

◆パチンコの復活が業界復活のカギとなる

 連日耳に入ってくるホールの閉店、不発続きの新台&新機能と、ネガティブな話ばかりのパチンコ。

 パチスロが堅調とはいえ、現状、遊技機の総台数はパチンコの方が圧倒的に多い。つまり、業界全体が回復するためにはパチンコ人気の復活が必要不可欠。30兆円産業といわれ、隆盛を極めていた時代を取り戻すためには何が必要なのだろうか。

取材・文/サ行桜井



【サ行桜井】
パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。