◆今週は国内、国外合わせてG1が4つも開催!
 今週末は香港でクイーンエリザベス2世カップを含む3つのG1が日本でも発売されます。さらに、日本では伝統の長距離G1天皇賞(春)が開催。国内、国外合わせて4つのG1を予想、購入する事が可能です。

 前回のドバイミーティングに続き、我々競馬ファンにとっては楽しみな反面、頭を悩ませる1日になりそうですね。そんな4つの注目G1をそれぞれ解説していきますので、ぜひ予想にお役立てください。

◆現役最強ステイヤーは誰の手に!?/天皇賞(春)

 最初に触れたいのが日本のG1天皇賞(春)。現役最強のステイヤーを決める伝統の一戦で、かつてはディープインパクトやキタサンブラックなどの名馬が勝利しています。

 昨年の菊花賞で圧巻の走りを見せた4歳馬ドゥレッツァは、前走の金鯱賞こそ2着に敗れたものの直線での不利が大きく、この一戦で評価を下げる必要はないでしょう。また、鞍上モレイラ騎手が魅力のタスティエーラや、紅一点のサリエラなど今年も有力馬が数多く参戦しています。

 その中でも注目したいのがテーオーロイヤル。前走の阪神大賞典は2着に5馬身差をつける完勝でしたが、ラップも非常に優秀でした。レースの上がり4ハロンは46.2秒と速く、3000m以上のレースで上がり4ハロン46.4秒以下を記録したレースの勝ち馬にはディープインパクトやナリタブライアン、テイエムオペラオー、スペシャルウィークなど歴史的なステイヤーばかりが該当。テーオーロイヤルもその一頭として歴史に名を残す存在になり得ると見ています。

◆最強スプリンター不在でチャンス到来?/チェアマンズSP

 多少でも海外競馬を予想した事がある方ならご存じでしょうが、香港の短距離〜マイル路線は非常に強力。特に短距離路線は世界最強と言っても過言ではありません。

 そして、その要因となっているのが現役最強の短距離馬ラッキースワイネスの存在で、昨年はチェアマンズSP、香港スプリントと香港の短距離GⅠに勝利。昨年のワールドベストレースホースランキングではレーティング125を記録して8位に名を連ねています。

 そのラッキースワイネスは、今回、怪我により出走回避。主役不在の状況となっています。そのため、日本馬にもチャンス到来となりそうです。

 しかし、それでもやはり層が厚いのが香港短距離路線。注目は昨年までマイル路線を歩んできたカリフォルニアスパングル。昨年のジョッキーCマイルはハイペースで差しが決まった展開でしたが、これを前で4着に粘る競馬は距離短縮につながる内容で、それが今年に入っての短距離での好結果につながっています。他にも高松宮記念で3着に好走したビクターザウィナーなど、主役不在でも香港馬が強力だと見ています。

◆絶対王者が君臨する香港マイル路線/チャンピオンズマイル

 現在の香港マイル路線には絶対的な王者が君臨しています。それはゴールデンシックスティ。なんと30戦26勝で内G110勝というとんでもない成績を残しており、昨年の香港マイルではマイルCS1着ナミュールと2着ソウルラッシュを相手にせず完勝。まさに香港の絶対王者です。

 今回のチャンピオンズマイルにも参戦しており、逆らうのは厳しいと見ています。また、その他の香港勢も強力で、昨年の香港マイルで2着に好走したヴォイッジバブルや香港のGⅠで好走歴のあるビューティーエターナル、ビューティージョイ、ギャラクシーパッチなど実力馬が参戦しています。

 日本馬でチャンスがあるならエルトンバローズになりそうです。シャティン競馬場は3コーナーが下り坂で直線が平坦というコース形態。これは京都競馬場と非常に似たレイアウトとなっています。実際に昨年のマイルCS1〜2着馬が香港マイルでも3〜4着。マイルCSで4着と善戦しているエルトンバローズなら十分期待できます。

◆ここは2強の構図か!?/クイーンエリザベス2世C

 当レースで2022、2023年と連覇を果たしているロマンチックウォリアー。同馬は香港カップも連覇したほか、オーストラリアのコックスプレートも制するなど香港を代表する中距離路線の最強馬です。2024年初戦の香港ゴールドカップも勝利しており、3連覇へ向けて死角はありません。

 ただし、われらが日本馬も負けていません。昨年の天皇賞(秋)でイクイノックス、ジャスティスパレスに次ぐ3着に好走したプログノーシスが、2024年初戦の金鯱賞でもドゥレッツァ相手に5馬身差と圧勝しており、6歳になって本格化。シャティン競馬場は日本より芝が重く、その点で強い競馬を見せた札幌記念の内容も評価できます。ロマンチックウォリアーとは2戦2敗ですが、昨年の香港カップは不利もありましたし逆転は十分可能でしょう。

 能力、適性的にも2強の構図となりそうです。3着争いは香港ダービーを制したマッシヴソヴリンや昨年の当レース3着ドバイオナー、香港カップ3着ヒシイグアスなどが有力になりそうです。

◆今回こそ日本馬の今年の最初の海外G1制覇を!

 前回のドバイミーティングではフォーエバーヤングが勝利しましたが、馬券発売レースでは2着が最高と我々にとってはあと一歩届かないレースが続きました。もちろん当然のように海外G1で好走すること自体が素晴らしいことですし、ひと昔前だとドバイワールドカップで2着は快挙と言っていい結果。

 それだけ日本馬のレベルが上がっていることは喜ばしいですが、人間とは贅沢なものでこうなるとやはり勝利が欲しいもの。今回こそ日本馬の今年最初の海外G1制覇に期待します。

文/安井涼太



【安井涼太】
各種メディアで活躍中の競馬予想家。新刊『安井式上がりXハロン攻略法(秀和システム)』が11月15日に発売された。『競走馬の適性を5つに分けて激走を見抜く! 脚質ギアファイブ(ガイドワークス)』『超穴馬の激走を見抜く! 追走力必勝法(秀和システム)』、『安井式ラップキャラ(ベストセラーズ)』など多数の書籍を執筆。