視聴率が右肩下がりの春ドラマ界。中でもラブストーリーが苦戦している。主要枠に5本というラインアップで話題になったものの、いずれも初回視聴率をキープできず、4%台にまで落ち込んだ作品もある。やはりラブストーリーで数字をとるには独特の難しさがあるようだ(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)。

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民放主要枠のラブストーリーは以下の5本。

◆「大豆田とわ子と三人の元夫」(フジテレビ火曜9時、主演松たか子)

◆「着飾る恋には理由があって」(TBS火曜10時、主演川口春奈)

◆「恋はDeepに」(日本テレビ水曜10時、主演石原さとみ、綾野剛)

◆「レンアイ漫画家」(フジテレビ木曜10時、主演鈴木亮平)

◆「リコカツ」(TBS金曜10時、主演北川景子)

視聴率で最も苦戦しているのはフジ「レンアイ漫画家」。初回6・5%でスタートし、3話で4・8%を記録。直近の6話も5・0%にとどまっている。恋愛ドラマ5本の中で唯一のマンガ原作ものだが、鈴木亮平×吉岡里穂の異色タッグへの違和感や、善人をだましていく後味の悪さを指摘する声は多い。

現時点で“落ち幅”が最も大きいのは日テレ「恋はDeepに」。「おっさんずラブ」徳尾浩司氏のオリジナル脚本とあって、5本の中では唯一の初回2ケタ(10・5%)でスタートしたが、2話で8%台となり、5話で7・7%。初回から2・8%下落している。海を守るために現れた謎の海洋学者が、敵企業の御曹司に恋をする人魚姫風ファンタジー。2話から「立場違いの恋」や「残された時間」などのカセが動きだして面白いだけに、1話の分かりにくさで一定の客を失ったのは悔やまれる。

脚本坂元裕二氏の3年ぶりの連ドラとして話題のフジ「大豆田とわ子と三人の元夫」は初回7・6%でスタートし、2話以降は5〜6%台あたりとさみしい。書きためたものを詰め込んだようなせりふ過多のテイストはネットでも賛否両論。客が離れるというより、“信者向け”で客をふるい落とす方向性は独特だ。

TBS「着飾る恋には理由があって」は、9・1%でスタートし、3話では6・8%に。火曜ドラマ枠で6%台を出すのは、19年10月期の「G線上のあなたと私」以来となる。翌5話は7・8%だった。

最終回視聴率19・6%を記録した昨夏の「私の家政夫ナギサさん」、同15・4%の「恋はつづくよどこまでも」(昨年1月期)、全話2ケタで終えた前期の「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」など、このところの好調さと比べると元気がない。制作は「中学聖日記」「アンナチュラル」など“ドラマのTBS”をけん引する新井順子プロデューサー×塚原あゆ子演出のタッグ。シェアハウスを舞台に壁ドンやお姫様抱っこなどの胸キュン描写に挑んでいるが、視聴率は苦戦中だ。

今ところ、数字が安定しているのはTBS「リコカツ」のみ。初回9・7%でスタートし、5話現在9・0%となっている。

TBS火曜ドラマ枠が「わたナギ」や「恋つづ」で当てて以降、各局がラブストーリーを作り始めている流れだが、あるドラマプロデューサーは「今、ラブストーリーを作るのは本当に難しい」と語る。親に反対されても普通に結婚し、ケータイがあればすれ違いもない時代。恋愛ドラマに必要なカセがどんどんなくなっているためだという。

「2人に立ちはだかる特段の壁がなく、どちらかが『好きだ』と言ったら終わってしまうので、それをじゃまするために壁ドンをする男が出てきたり、RPGみたいなラブストーリーが多くなってしまっている。何がカセで何がテーマなのか、よく分からないものが多い」。別のドラマ関係者は「ラブストーリーだけではもたないので、お仕事ドラマの成長物語とうまくハイブリッドにすることが大事。そこが今期は弱いのでは」と話す。

ラブストーリーを書ける脚本家が減っていることも長年の課題だ。1話完結ではなく、1クールにわたって視聴者の根気を持続させなければならないラブストーリーは、脚本家の力量が問われるジャンルでもある。年齢差モノの「わたナギ」、身分違いモノの「恋つづ」など、カセがしっかりあってヒットした作品はいずれもマンガ原作だったりする。

当たれば大きいラブストーリー。ドラマ関係者は「オリジナルで作り続けることが大事」という。「原作マンガありきでは制作力が上がらない。ゼロから書かないと、脚本家もプロデューサーもディレクターも強くならない」。その意味では、5本中4本がオリジナルのラブストーリーという今期のラインアップはもっと評価されるべきかも。どの作品も後半に盛り上がりそうな要素はあり、展開に注目したい。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)