俳優でタレントの中尾彬(なかお・あきら)さんが16日、心不全のため亡くなったことが22日、明らかになった。81歳だった。所属事務所「古舘プロジェクト」が公式サイトで正式発表した。

中尾さんの故郷・千葉県木更津市の渡辺芳邦市長(59)が22日、追悼のコメントを発表した。中尾さんは、市政75周年を迎えた2017年(平29)に同市が設置した「木更津市PR大使」に就任。23年11月には、終活の一環として自身が描いた絵画3点を含む美術品38点を寄贈していた。

「木更津PR大使 中尾彬様のご逝去の報に接し、心からお悔やみ申し上げますとともに、衷心より哀悼の意を表します。中尾様は、木更津第一高等学校(現木更津高等学校)をご卒業後、武蔵野美術大学に進まれ、俳優、タレント、コメンテーターなど幅広くご活躍されながら、画家としても、フランスで権威ある賞を受賞し、幾度も個展を開催されるなど、才能を発揮しておられました」

「平成29年11月に、木更津PR大使にご就任いただいて以来、成人式(二十歳を祝う会)での新成人に向けたメッセージや、令和4年の市制施行80周年の記念動画へのご出演、記念誌へのご寄稿など、6年半にわたり、さまざまな場面でご助力を賜りました」

「昨年には、本市の文化・芸術振興のためにと、ご自身が収集し愛蔵してきた美術作品(38点)をご寄贈くださり、今年3月にこれら寄贈作品を展示した「中尾彬コレクション」を開催した折には、多くの市民の皆様がご来場され、中尾様への感謝のメッセージをいただきました」

「木更津PR大使4期目ご就任の際、木更津市が明るくなったと、いろんなものが日の目を見て活気につながっていると笑顔でお話しされたことを思い返し、追慕しております。ここに改めてご生前のご功績に対し、深く敬意を表しますとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。令和6年5月22日 木更津市長 渡辺芳邦」

今年3月23〜30日には、寄贈した美術品38点を「中尾彬コレクション」と題し、木更津市内の中央公民館で寄贈作品展が開催された。中尾さんは、23年11月27日に、木更津市役所で行われた第4期PR大使委嘱状交付式および寄付採納式に出席。席上で、寄贈した理由について「30〜40年前から集めたもので、自分に描けない世界の絵が自然と集まりました。気に入った作品のリトグラフ(版画)を画廊に行ったりして探したものです。絵を見飽きたわけではなく終活しているため、これを木更津の人に見てもらった方がいいのではないかと思い寄附をいたしました」と寄贈の理由を説明していた。