活動再開が注目されている中森明菜(58)の所属事務所が「歌手、声優、俳優などご縁がある限り、前向きに検討させていただければ……」と回答したと9日付『スポーツニッポン』が報道したことで、明菜の周辺をより一層騒がしくさせている。

 明菜は今年4月、公式YouTubeチャンネルでジャズバージョンのセルフカバー4曲の歌唱動画を立て続けに配信してかつてのファンを感涙させた。さらに7月13日の59歳の誕生日にファンクラブ会員を対象としたイベントを開催することも発表。こうした動きを見る限り、本人の努力もあり、体調は日々回復に向かっているとようだ。

 あれだけの歌唱力を持つ歌姫の復活を心待ちにしているファンはたくさんいるが、スポニチの取材に事務所が「声優、俳優なども前向きに検討……」と答えていることから、明菜は"歌手以外"の活動も視野に入れていることが伺い知れる。事務所は「現時点での予定はない」と改めて日刊スポーツの取材に答えているが、一度“前向きに”と答えた明菜をテレビ各局が放っておくはずはないだろう。

 中でも『古畑任三郎』シリーズの記念すべき第1話のゲストに中森を起用した脚本家・三谷幸喜(62)は中森の復活に、自らがMCを務める「情報7daysニュースキャスター」(TBS系、4月20日放送)で「芝居も素晴らしい」と、その才能を絶賛してみせた。

「2010年、体調不良による無期限の芸能活動休止を発表した経緯を考えれば、女優としての復活は長丁場の連続ドラマではなく、単発ものがより現実的と言えるでしょう。スタッフも気心の知れた昔の仲間たちが再びタッグを組んで明菜を迎えれば、彼女が重い腰を上げる可能性は十分にあると思いますよ……」(テレビ関係者)

■テイクは3回まで…明菜に無駄は撮影は許されない

 明菜が女優として復活すれば、2006年4月期の『プリマダム』(日本テレビ系)以来の出演となる。ただ、体調以外にも明菜の"トリセツ"は極めて複雑だ。古参のテレビマンがこう解説する。

「明菜さんはとにかく前向きで、収録当日には台本をしっかりと読み込んできた状態で収録に臨んでいました。ただ、役作りを丁寧にするあまり、現場で演出家と感情的になることも……。自分が作り上げてきた役柄設定が演出家と噛み合わないと楽屋に閉じこもってしまったり、最後まで納得がいかないときは途中で帰ってしまったこともあったと記憶しています」

 また別のドラマ関係者は、当時は中森だけに許された"明菜ルール"があったと教えてくれた。

「"明菜さんのテイクは3回まで"という特別ルールがありました。事前に台本をしっかり読んでいるのだから、そんな無駄な収録は許さないということです。毎回が真剣勝負だった明菜さんには、同じことをやらせるのは3度までが限界で、NGを出すまいと周りの共演者たちからも緊張感は伝わってくるような現場でした」

 松田聖子や中森明菜に"育てられた"と言える筆者の個人的見解は、加齢で声が枯れても出なくても中森明菜は中森明菜であり、何年経とうが『素顔のままで』(フジテレビ系)の中森"カンナ"明菜は唯一無二の存在だ。それぞれに紆余曲折あった2大歌姫の活躍を、是非もう1度見てみたいと願うばかりだが、明菜の女優復活は彼女が納得する演出や撮影ができるスタッフが令和の今に存在するかどうかが鍵となりそうだ。

(芋澤貞雄/芸能ジャーナリスト)