テレビ東京系「ワールドビジネスサテライト(WBS)」が報道の雄、テレビ朝日系「報道ステーション」に合わせ、22時に1時間繰り上げ放送を始めて3週間が過ぎた(金曜は23時)。

 視聴率は報ステが圧倒的優位に立っているので、内容をチェックしてみた。

 WBSは月、火担当の大江麻理子、水〜金担当の佐々木明子が次々と大物をインタビューしている。大江は3月29日初日にソフトバンクグループ社長の孫正義を引っ張りだし、佐々木は4月1日に菅総理を単独インタビューした。8日には佐々木がサントリーHD社長の新浪剛史、12日には大江がワクチン担当大臣の河野太郎のスタジオ生出演を実現させた。

 片や報ステはサッカー元日本代表、内田篤人の水曜スポーツキャスター起用が話題になっているくらい。

 経済問題では報ステがWBSに大きく差をつけられた。英CVCキャピタル・パートナーズによる東芝買収提案騒動だ。

 7日、この騒動をトップで取り上げたWBSは佐々木が背景をわかりやすく説明、滝田洋一解説キャスターが問題点を的確に指摘した。東芝・車谷暢昭氏が社長に就任する前にCVC日本法人の会長を務めていたことや、「物言う株主」対策で「(その)攻勢を回避するため、自己保身で今回の提案を行った、受けたという可能性がある」うんぬん。滝田は「今回の買収劇は進め方に問題があった」と断じた。

 報ステはというと「東芝が揺れています」と買収の提案を受けていることを報じただけ。視聴者は何が起きているかわからなかったはずだ。

 この問題は今週になって大きく動いた。13日に大江がトップで14日の臨時取締役会での車谷社長への解職動議、辞任の可能性を報じた。

 一方、報ステは番組終わりにWBSを見てから突っ込んだのかと思いたくなるような内容を40秒だけ取り上げた。

 オチもある。14日、車谷社長が辞任を発表したが、報ステは車谷社長のコメントを代読した人物を間違えてしまい、番組の最後で訂正した。

 日経系列だからWBSは経済に強いと一言で片づけることもできる。しかし、WBSは2兆円規模の国策も絡んだ東芝買収報道でトップのクビを取ったも同然。後手後手だった報ステ「お粗末の一席」と言われても仕方がない。

(文=峯田淳/日刊ゲンダイ)