モデルのマリエ(33)が明かした芸能界における枕営業の実態が今も波紋を広げている。「同席していた」と名指しされた出川哲朗(57)は暗闇で突然後ろからバットで殴られた気持ちだろう。それくらい業界には衝撃が走った。見かねた武井壮(47)は自らのユーチューブで「芸能界は全然そんなところじゃないっすよ。すごい健全なところ」とフォローしてみせたが、この説明に納得した人は多くないはずだ。

 実際、現場の芸能プロダクション関係者を改めて取材してみても、「仕事を取るために行儀の悪いことをする芸能事務所があったとしても、あまり驚かない」と語る。知名度がさほど高くないタレントが、ドラマの準主役級の仕事や、高視聴率のバラエティ番組のレギュラーの仕事を取るためには、「それなりの代償を払うのが当然」という風潮がこの業界にはあるという。

■バーターが使えない弱小プロダクションの飛び道具

「さすがにドラマの主演やバラエティ番組のMCを取るために、所属タレントに枕営業させたなんて話は聞いたことがありません。ドラマの4〜5番手の役柄や、バラエティ番組のひな壇の席をめぐって競争原理が働くのです。大手芸能プロだったらこの仕事を押さえるために、所属する売れっ子タレントをバーターにして、知名度の低いタレントをブッキングすればいいわけですが、規模の小さい芸能プロは、売り込みがまさに困難を極めます。もし状況が横一線の状態だったら小さなプロダクションは絶対に大手には勝てません。その最終手段として枕営業という飛び道具が登場してくるわけです。しかし、現実はもしそれで仕事が取れたとしても、大手プロのタレントより下の番手がせいぜいです」(芸能プロ関係者)

 筆者もその昔、大ベテランの大物女優(故人)に人気ドラマのキャスティングについて直に話を聞いたことがある。筆者が「このドラマの成功は絶妙なキャスティングですよね。端役にまで演出家の目が届いているように思います」と、ある新人女優の名前を出したところ、彼女は実に素っ気なく「ああ、あの子ね。(小指を立てながら)プロデューサーのこれなのよ。(芝居は)上手くないけど」と、まさに舞台裏を暴露した。これを正確な意味で枕営業と呼ぶべきか分からない。ただ、こうした“情を通じたキャスティング”は実在する。

■横一線なら“おまけ”があった方が有利

 別の芸能プロ関係者は次のようにも証言した。

「枕営業をする上で、絶対的に有利なのがいわゆるモデル系のタレントを数多く抱える芸能プロです。何といっても手駒が豊富ですから、営業が手を抜かない限り手広く仕事が拾えるわけです。選ぶ方だって5〜6番手の役で演技力が同程度だったら“おまけ”が付いた方を選んでしまいます。そこまで人は潔癖でも強くもありません」

 近年、芸能界ではいわゆるモデル系の芸能プロが幅を利かせている。その背景には前出のような事情も隠されているのではないかと、この関係者は推測した。

「売り込む側にも絶妙な“さじ加減”みたいなものがあって、枕営業に対して比較的抵抗感の少ないタレントにそれを任せているようです。もし無理強いなんてしようものなら完全な人権問題。将来的に必ずスキャンダルに発展します。マリエのケースは未遂とはいえその典型といっていいでしょう。彼女を見ていると15年前の出来事がトラウマになっている可能性も否定出来ません」(テレビ関係者)

 今回の騒動を見ていてどうにも腑に落ちないのが、マリエの所属事務所レプロが彼女に対して謝罪を要求したり、契約解消などの措置を取らないことだ。かと言ってマリエを擁護するわけでもなく、音なしの構えなのが不自然に映ってならない。

 マリエに“首謀者”として名指しされた島田紳助氏(65)は今のところ沈黙を守っている。島田氏がはたしてどんな思いで今回の騒動を眺めているのか真意を聞いてみたいものだ。

(芸能ジャーナリスト・芋澤貞雄)