NHK紅白歌合戦の裏番組として大晦日恒例の「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!絶対に笑ってはいけないシリーズ」(日本テレビ系)が休止すると報じられた。今年は代わりに6時間生放送のお笑い特番「絶対笑って年越したい!笑う大晦日」(仮)を放送するという。

 2006年から15年にわたり放送。ダウンタウン、ココリコ、月亭方正が出演し、次々と現れる笑いの刺客に、噴き出してしまうと、「○○、アウトー」のナレーションとともに、覆面をした男たちからお尻をブッ叩かれるパターン。13年の「地球防衛軍24時」は歴代最高の平均世帯視聴率19.8%を獲得。10年以降は、20年末に放送された「大貧民GoToラスベガス24時!」まで、11年連続で大晦日の夜の民放1位を更新中だった(関東地区・ビデオリサーチ調べ)。

 19年末の「青春ハイスクール24時!」では、元SMAPで「新しい地図」の稲垣吾郎(47)、草彅剛(47)、香取慎吾(44)の3人が、SMAP解散後、同番組で地上波復帰を果たすなど、毎年、話題の芸能人が登場した。

 視聴率が好調であるにもかかわらず休止となる背景には、8月末にBPO(放送倫理・番組向上機構)の青少年委員会が公表した「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」が審議入りすることがあるだろう。

 日本テレビの合田伊知郎プロデューサーは、「昨年大晦日の放送で15年。つきましては、これを節目に『笑ってはいけない』を休止したいと思います」として、表立ってはBPOの件には触れていないが影響があることは想像に難くない。さる日テレ関係者は「もちろんBPO対策はありますが、もうひとつ別の理由があります」としてこう話す。

「先日、ある夕刊紙が、叩くばかりではなく、くすぐるなど罰ゲームのバリエーションを広げることで同番組は継続する方針と報じたのです。それに対し、この件についてナーバスになっている松本人志から、事前に情報が漏れたことについて物言いがついた。松本は、渡部建の出演の時もそうでしたが、たびたび同番組の情報が事前に外部に漏れることに疑心暗鬼になっているんです。それで急きょ“休止”という発表をせざるを得なくなった。ダウンタウン以下、出演者は変わらないし、実質的には“リニューアル”なんです」

■「テレビに“余白”がなくなってきている」

 以前から、「イジメや暴力を助長する」という理由でヤリ玉に挙げられてきた同番組だが、BPOの元委員で、放送ジャーナリストの小田桐誠氏はこう解説する。

「この手の問題は、この番組に限らず昔からたびたびあったんですが、そもそも人を笑わせることは泣かせることよりも難しいと思うんです。しかし昨今は、バラエティー番組も、キャスティングは人気タレントに集中し、制作時間も予算もない。作り手にとって、笑いの幅や奥行きは狭くなってきているように感じますね。それは見る方も同じで、テレビとの距離感というか、テレビを視聴する中で“余白”を感じられなくなっているのではないか。作り手側も見る側も余裕がなくなっていると感じます」

 だが、こうした規制が進むと現場が萎縮してしまうのは避けられまい。

「バラエティー番組がこの種の演出をカットした場合、多くの若手芸人らは仕事を失うことになるでしょう。ドッキリや罰ゲームは、まさに若手芸人の主戦場だからです」(制作プロデューサー) 視聴者の地上波離れが加速し、ますますYouTubeや配信動画に流れる中、過度な規制を危惧しているテレビマンは多い。