フジテレビが24日にスクープとして報じた眞子さま(29)の婚約内定者、小室圭さん(29)のニューヨークでの映像。27日の帰国に向けたPCR検査を受けた直後の姿だという。いずれにしても、小室さんは撮影されることを予期していない。プライベートな場面である。肖像権、プライバシー権の侵害であり、小室さんの人格をも否定している。

 テレビ局側は公共性・公益性を主張するだろうが、眞子さま・小室さんの結婚後も、2人のプライバシーがこのように守られないとすれば大変な問題である。

 映像は24日午後4時ごろ(現地時間)、ニューヨークの路上で撮られたという。

「眞子さまと、どういうお気持ちでご結婚されるのですか?」

「秋篠宮ご一家にご説明、ご面会される予定はありますでしょうか」

「一言だけでも。これからどのような気持ちで会見に臨まれるのでしょうか?」

 小室さんは無言である。「黒いスーツ姿にマスクをしていて、髪は以前よりも長く伸び、うしろに束ねた状態でした」と説明された。小室さんの長髪、ロン毛にアップする映像まであり、悪意を感じざるを得ない。

 放送されたのは、朝の「めざまし8(エイト)」であった。コメンテーターの元衆院議員の金子恵美さんは、「私は今のVTRを見て、一般の方ですし突然の取材ですから、対応しなくてもいいのかもしれないんですけど。これから眞子さまとご結婚、皇室の方とご結婚されるのであれば、もう少し丁寧に日本のメディアに対応した方が印象はよかったんじゃないかなと、私は個人的に思いました」と述べている。

 ニューヨークの街中で失礼な質問をするテレビ局に、丁寧な説明をする必要があるのだろうか。答える義務はまったくない。内親王の結婚はまったくの私的行為である。私は、21世紀の女性皇族は結婚相手を公表しなくてもいいぐらいに思っている。

■結婚後も追い掛け回すのか

 10月中旬に予定されている結婚の記者会見でも、小室さんはやはり、「お母様の『借金』問題をどのようにお考えですか」と芸能レポーターに問いただされるのだろうか。無言のままの小室さんにフラッシュが何度もたかれる場面が映し出されるのだろうか。皇室の尊厳も何もない、単なるさらし者である。「小室バッシング」をする人たち、それで視聴率をかせぐメディアは、口ごもる小室さんを見て留飲を下げたいだけなのではないか。

 百歩譲って、婚姻届を出すまでは、容認するとしよう。

 しかし、そのあと小室圭さん・小室眞子さんの夫妻は、完全なる一般人だ。報道によれば、「小室眞子」さんはビザ取得のため、渡米までしばらく東京都内のマンションで暮らす。

 もう、宮家の侍女などの世話になることはできないから、買い物も自力で行うだろう。そのとき、やはりメディアは圭さん・眞子さんを追い続けるのだろうか。結婚後の「小室眞子」さんにも路上で、失礼な質問を投げかけ続けるのだろうか。

 小室さんは「借金」問題を説明すべきだと声高にテレビで叫ぶ人たちがいる。小室さんのお母さんの個人的な問題を、なぜ小室さんが説明しなければならないのか。すでに4月の文書で十分説明したではないか。

 もう度を超している。いじめや、バッシングではなく犯罪である。小室さんの9月27日の帰国後、どのような事態になるのか。メディアにはもう節度がなくなっていると言わざるを得ない。

▽森暢平(もり・ようへい) 成城大学文芸学部教授。元毎日新聞記者。著書に『天皇家の財布』(新潮社)、『近代皇室の社会史』(吉川弘文館)、『皇后四代の歴史──昭憲皇太后から美智子皇后まで』(吉川弘文館、共著)、『「地域」から見える天皇制』(吉田書店、共著)などがある。