フル装備の機動隊を従えてのガサ入れだったが、どこか違和感が……。

 警視庁捜査2課は13日、公選法違反(選挙の自由妨害)の疑いで、政治団体「つばさの党」の事務所などを家宅捜索した。厳戒態勢が敷かれていたのだが、機動隊員の顔をよく見ると、なんだかおとなしそうな容貌。

 昭和の時代、機動隊は学生運動や日本赤軍などと対峙し、殺伐とした現場を渡り歩いていた。そのためか、当時の写真を見ると、どこかゴツく、汗臭そうなイメージがある。それと比較すると、現代の機動隊員はどうも弱々しく見えてしまう。

 かつては精鋭が選ばれていたであろう機動隊員。近年は警察官のなり手不足が叫ばれており、人員に余裕がなく寄せ集め集団になってしまっているのだろうか。実際、全国の警察採用試験の受験者数は2013年の11万635人から、22年の5万8329人と、約10年間で半減。中でも、栃木県警の応募者数は16年度に2574人だったが、22年度には501人。6年間で5分の1に激減している。

■2018年には62年ぶりにリニューアル

 警察関係者は「担い手不足感は否めませんが、機動隊は今でもかなりのツワモノぞろいです」と、こう続ける。

「基本的に20代が多く、体力のある者が集まっている。レガース(防具一式)やヘルメットなどの装備は全部で7キロあり、盾は6キロ。それらを装備したままグラウンドを何周も走るなど、普段から過酷なトレーニングに励んでいます。警杖という警備用の長い棒を扱うための修練の時間もあり、剣道や柔道の有段者もチラホラ。武術にもぬかりはありません」

 集団行動では、より力を発揮するという。

「国会など重要施設の警備にあたることが多く、失敗は許されない。そのため、普段から綿密に連携を確認し、訓練しています。個の力はともかく、組織力は非常に高いはず。とはいえ、なり手不足の傾向がこのまま続くと、業務に支障が出てくるかもしれません」(前出の警察関係者)

 2018年には制服が62年ぶりにリニューアルされ、現代的なデザインに。かつては鉄製だった盾も、透明なポリカーボネート製が主流になり、よりスマートな装いになった。

 機動隊の見た目が変わったのは、時代の変化ということか。