違法行為なんて何のその、脱法上等の日本維新の会が、その本質をいかんなくさらけ出した。共同代表の吉村大阪府知事が、0歳児へ選挙権付与を党の公約に盛り込む方針を打ち出し、世間をア然とさせている。吉村府知事は弁護士資格を持つ法律家であり、憲法尊重擁護義務を負う公務員。違憲公約を堂々と掲げるなんて公人失格だ。維新丸ごと退場した方がいい。

 先月末の定例会見で0歳児投票に言及していた吉村府知事は13日、「人口構造と投票率等を組み合わせて見たときに、僕らの子どもや孫の世代は圧倒的に政治的に影響力がない。これだけ少子高齢化が進んでいる日本だからこそ、やるべきだと思う」と強調。「マニフェストに組み込んで、次の総選挙でしっかりと訴えたい」と踏み込んだのだが、荒唐無稽にもほどがある。

 選挙権について規定した憲法15条は3項で〈公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する〉とうたっている。日本の成年年齢は18歳だ。

 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう指摘する。

「そもそも、基本的人権のひとつである選挙権は年齢に関係なく、すべての主権者国民が持っています。その行使にあたって、主体的に行動できる適正な年齢を指しているのが『成年』で、教育や文化水準によって定められる。日本は2022年の改正民法施行で20歳から18歳に引き下げました。世界を見渡せば16歳以下の国もあります」

■買収横行の可能性

 維新案の肝は、親による選挙権の代理行使だ。3子の父親である吉村府知事が「僕は4票の影響力がある」と力んでいたように、子だくさんの親ほど投票数を増やそうというのである。

「親がいない子の1票はどうなるのか。憲法14条は法の下の平等を定めており、0歳児だろうが何だろうが、不平等を生じさせてはならないし、歪んだ形での権利行使は許されない。選挙権は譲り渡す性質のものではないのです。『第2自民党』を自負する維新がいかにも言いそうなことですが、実現したら買収が横行し、金権選挙がさらに蔓延してしまう」(金子勝氏)

 普通、平等、秘密、直接──。民主的選挙を担保する4原則をぶっ壊そうとする権威主義のヤカラに政治をやる資格はない。