【それ間違いかも?ビジネスマナー常識チェック】

 敬語の基本編(6)

  ◇  ◇  ◇

 前回は「丁寧語」と「美化語」、「お」と「ご」の付け方のルールなどを見ていきました。

 今回は、「お」や「ご」の付け方の続きから始めましょう。

■「お」や「ご」を付けない言葉

 言葉を上品に、丁寧に表現しようと思うあまり、なんにでも「お」や「ご」を付けてしまうとかえっておかしな言葉になることもありますので注意が必要です。

●外来語 おコーヒー/おテーブル/おテレビなど

×「おコーヒーはいかがですか」

●役職や敬称 お社長/お先生/お部長など

×「お社長、よろしくお願いいたします」

●野菜、果物 おニンジン/お柿/おイチゴなど

×「おニンジンは栄養価の高い野菜です」

●自然現象 お雨/お雷/ご台風など

×「お雨が降りそうですね」

●よくない意味の言葉 ご失敗/ご骨折/ご頭痛など

×「ご失敗を恐れず、挑戦しましょう」

●公共のもの お学校/お公園/お公民館など

×「明日はお学校の創立記念日です」

■「自分側」と「相手」との関係性

 敬語は、その場での相手との関係性によって使い方が変化します。

 例えば、上司の場合。普段はもちろん、目上の存在である上司に対しては敬語を使います。しかし、そこに社外の人が同席している場合はどうでしょうか。「自分」「上司」「社外の人」、この中で敬意を向ける相手は「社外の人」です。つまり社外の人に対しては、たとえ上司であっても社内の人に敬語は使いません。

「自分側」と「相手」と考えるとわかりやすいかもしれませんね。上司は自分と同じ会社の人、つまり「自分側」にいる人です。自分側の人間に敬語は使いません。敬意を向ける先は「社外の人」にだからです。

 このように敬語は、同じ人であっても、その場の人間関係によって使い方が変わります。

例)電話の取り次ぎ

お客さま「田中部長はいらっしゃいますか」

自分「田中でございますね。少々お待ちいただけますか」(お客さまに対して)

自分「田中部長、A物産の山本さまからお電話です」(田中部長に対して)

*「部長」などの役職名は敬称にあたります。敬称はその人に対する敬意を表す語ですから、社外の人に対しては、自社の部長のことは「田中」または「部長の田中」と表現します。

 他社の部長のことは「山本部長」または「部長の山本さま」が正解。「山本部長さま」は敬称が重なった二重敬語です。
(金森たかこ/マナー講師)