また裏金自民に鉄槌だ。2日投開票の東京・港区長選で無所属新人の元区議が、自公推薦の現職を僅差で破った。元区議の陣営関係者はこう言う。

「区長選で裏金事件はテーマにならなかったが、現職の陣営は自民区議が応援に入ったことが裏目となり、明らかに支持に広がりを欠いていた。有権者の怒りは相当なものということだ」

 都内で岸田自民は連戦連敗だ。4月は目黒区長選で推薦候補が敗北。同区長選への出馬で都議2人が辞職したことに伴い、5月に実施された都議補欠選挙でも公認候補が負けた。4月下旬の衆院東京15区補選では候補擁立を断念。不戦敗だった。

 そんな中、「天王山」と位置づけられる都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)も、岸田自民にとって微妙な展開になっている。首都決戦での「敗北」を避けるため、小池都知事との連携を模索しているが、思惑通りに事が進まない状況だ。

 小池都知事サイドから「裏金事件のイメージを引きずる自民との連携はマイナスでしかない。知事は突っぱねるべきだ」(都民ファーストの会関係者)という声が上がっているからだ。

 またぞろ不戦敗となる可能性があるが、実は、岸田自民にとって知事選以上に不安な選挙がある。知事選と同日に、都内8選挙区で投開票となる都議補欠選挙だ。江東区、品川区、中野区、北区、板橋区、足立区、八王子市、府中市の各選挙区(欠員1=6月28日告示)で行われる。これら全てに自民は候補を擁立する。

■萩生田前政調会長のお膝元もピンチ

 ある選挙区の自民若手地方議員は「正直、知事選どころじゃないです」と言い、こう続ける。

「知事選は、都連会長の萩生田前政調会長と小池さんの間で調整している話で、下っ端には関係ありません。我々にとって、より重要なのは8補選。裏金事件のあおりで『全敗もあり得る』と囁かれています。そんなことになれば、来年の都議選、次期衆院選への影響は確実です」

 都議補選への出馬が決まっている自民関係者は、「知事選よりも自分の選挙だけに全集中したい……」と焦りを隠さない。

 8選挙区のうち、特にヤバいと目されているのが、裏金2728万円の萩生田氏の“お膝元”の八王子市と、安倍派の事務総長だった下村博文元文科相の地元・板橋区だ。

「八王子市では、萩生田さんの“子分”の市議が出馬表明しています。ただ、この状況ですから公募で手を挙げたのは彼一人だったそう。『火中の栗を拾った』といわれています。野党に有力候補を立てられれば、まず勝てないとみられています。板橋区は下村さんの元秘書が出馬を決めているが、その肩書だけで大逆風でしょう」(都政関係者)

 8選挙区で全敗すれば、いよいよ岸田首相はオシマイだ。

「菅前首相は、21年8月の横浜市長選での敗北が退陣の引き金になったといわれますが、その前月の都議選で結果を残せなかったことも大きかった。下馬評では自民の圧勝が予想されていたのに、最終盤で都ファに追い上げられ、自公で過半数に届かなかったのです。ある意味“惨敗”でした」(官邸事情通)

 岸田首相の命運も「7.7」で尽きるか。都民は知事選だけでなく、都議補選にも注目すべきだ。