能登半島地震発生から5カ月経った被災地に、再び動揺が広がった。

 3日午前6時31分ごろ、石川県輪島市と珠洲市で最大震度5強の揺れを観測した地震。東京都や大阪府など広い範囲で緊急地震速報が発表され、北陸、上越新幹線が一時運転を見合わせるなど、各地に混乱をもたらした。

 輪島市では、元日の地震で被災した家屋5棟が、今回の地震で倒壊した。

■ボランティア活動ストップ

 被災地の支援活動にも影響が出ている。珠洲市社会福祉協議会の塩井豊事務局長はこう話す。

「これまでにも大なり小なり地震はありましたが、今回は震度5強と特に揺れが大きかったため、安全を考慮して当日のボランティア活動は中止しました。正月の震災でダメージを受け、雨漏りや雨風にさらされて腐食が進む家もある。珠洲市では今回の地震による建物の被害はあまり見られませんでしたが、家屋によっては倒壊のリスクが増した可能性もある。作業を行う予定の家屋の被害状況を、改めて確認する必要が出てくるかもしれません」

 1月以来となる震度5強の地震が被災者に与えた恐怖は大きい。珠洲市で支援活動を行う、一般社団法人ピースボート災害支援センターの大塩さやか氏は「今回の地震は建物への被害よりも、精神的な影響の方が大きい」と、こう話す。

「仮設住宅へ移った人や、家屋の修繕が一段落した人もいて、少し落ち着いてきたかなと思っていたときに、大きな地震がまた起こった。『正月の地震を思い出して怖かった』『大きな地震がまた続くんじゃないかと不安になった』という声が聞かれました」

 珠洲市では建物内の水道管が損傷し、断水状態が続く家屋が多い。水道がいつ復旧するか見通せない中、それでも能登に戻りたいと願う人は多い。

「珠洲で長年暮らしてきた高齢者などは、安全でインフラも整っている都市部に避難しても、今までと異なる環境で心身に不調をきたしてしまう。『ここでは自分らしく生きられない』と、珠洲に戻ってくる人は多いです。それだけに、今回の地震がもたらした恐怖は非常に悩ましい」

 復興への思いをくじかれかねない。自然災害は無情だ。