「現職の背中が見えてきました。政治の景色を変えるのは、いつだって皆さんの勇気だと思う!」

 7月7日投開票の東京都知事選まで残り3日。現職の小池知事を追う蓮舫候補は3日も京王線・調布駅前に立ち、支持を訴えた。常に1000人超の聴衆を集め、演説のボルテージも日ごとに高まっている。どこかシラけたムードが漂う小池知事の街宣に比べ、蓮舫氏とその支援者たちの熱気の方が、ハッキリ言って五十歩も百歩も勝る。とはいえ、主要マスコミの中盤情勢の調査結果はおおむね、小池「一歩リード」。終盤にかけ蓮舫氏に逆転の目はあるのか。

■「ひとり街宣」が活気づく

 ここにきて活気づいているのが、蓮舫氏を応援する人々の「ひとり街宣」と呼ばれる動きだ。

 一人一人が地元の駅頭などに立ち、独自に宣伝。プラカードを掲げ、候補者のように支援を求めたり、投票率アップを呼びかけたり、「外苑再開発見直し」などの政策を訴えたり、立っているだけだったり、スタイルは自由だ。空き時間を利用して5〜10分から無理せず、いつでも、どこでも始められるのがメリットである。

 蓮舫陣営の「R」のロゴマークや「あなたと次の東京へ」のスローガンの入ったデザインなどプラカード用アイテムはコンビニのネットプリントで共有。著述家の菅野完氏らはグーグルマップと連動させた「ひとり街宣MAP」を開発し、どこの駅頭で行われたかがひと目で分かるようにした。SNSでは「#ひとり街宣」の投稿も増加中。一人で約70人に蓮舫氏への投票の約束を取りつけた猛者もおり、蓮舫への応援運動として都内全域で広がっているのだ。

「ひとり街宣は2022年の東京・杉並区長選で岸本区長当選の、昨年の同区議選で議会の半数を占める女性議員躍進の、それぞれ大きな原動力となりました。大阪の高速バス乗り場で、東京行きの乗客に蓮舫氏への1票を呼びかけた際の写真をSNSに投稿する人もいて、ひとり街宣は全国規模で拡散しています」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)

芸能界にも広がる蓮舫支持の輪

■キョンキョンも“参戦”

 芸能界にも蓮舫支持の輪は広がっている。歌手のUAとコムアイ、モデルの中田クルミが街宣にメッセージを寄せ、支持を表明。俳優の宍戸開はSNSに「蓮舫一択」と投稿し、元「ハロプロ」の和田彩花、音楽家で俳優の浜野謙太、タレントの松尾貴史、エッセイストの能町みね子氏らが期日前投票で蓮舫氏に投票したと明かしている。

 4年前の「#検察庁法改正案の強行採決に反対します」のネット運動に火を付けた小泉今日子も“参戦”。自身のSNSに蓮舫陣営PR動画を添付し、〈次の世代に何が残せるのか考えさせられます〉と書き込んだ。

■組織の緩みと恵みの雨

 ステルス支援の自民は「小池先行」の情勢に安堵しているが、その油断が組織の緩みにつながる。本気で動いているのは「同日投開票の都議補選に候補を立てた江東・品川・中野・北・板橋・足立6区、八王子・府中2市だけ」(自民関係者)とも言われている。

 あとは投開票日の天気次第か。都内有権者の5割強を占める無党派層のうち、3割強が小池氏を支持。蓮舫氏は2割弱にとどまり、石丸伸二候補の後塵を拝する情勢調査も。裏返せば当日が猛暑日やドシャ降りで無党派層の足が投票所から遠のけば、蓮舫氏に有利だ。7日の予報は「くもり時々晴れ」。ウェザーニュースによると〈ザッと雨が降ったりする可能性がある変わりやすい天気〉だという。

 はたして蓮舫氏に「恵みの雨」が降り、「神風」は吹くだろうか──。

  ◇  ◇  ◇

 東京都知事選が終盤に差し掛かり、情報戦の様相。大手メディアの情勢調査では現職・小池百合子知事(71)が先行、蓮舫前参院議員(56)が追いかけ、石丸伸二前安芸高田市長(41)が続く展開になっているものの、ここへきて下馬評を覆す“怪情報”が永田町で飛び交い始め……。

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